高速道路には緑・白や橙・白の鯉のぼりが設置されています。それは何を意味しているのでしょうか。

 高速道路の道路脇には、緑色と白色の「鯉のぼり」のような形をした設備があります。
 
 では、これは一体どのような目的で設置されているのでしょうか。

 高速道路では、いたる所にドライバーが安全に運転できるような工夫が施されています。

 たとえば高速道路の中央分離帯に植えられている木は、道路の曲がっている方向を分かりやすくしたり、夜間に反対車線を走るクルマのヘッドライトのまぶしさを防いだりするための設備です。

 さらに、縦に2つ照明が並んだ「ブリンカーライト」と呼ばれる黄色い箱状の設備は、中央分離帯や道路の分岐部分などに設置されており、24時間点滅することでドライバーに分岐部分などへの注意をうながしています。

 このように高速道路にはドライバーのためのさまざまな設備がありますが、高速道路を運転していると、緑色と白色の縞模様をした「鯉のぼり」のようなものが道路脇に設置されているのを見かけます。

 では、これは一体何のために設置されているのでしょうか。

 この鯉のぼりのような設備は正式名称を「吹き流し(ふきながし)」といい、ドライバーが風の向きや強さを目で判断しやすいように設置されています。

 おおよその風速は「吹き流しの角度÷8」で算出でき、具体的には吹き流しがポールに対して45度くらいの角度でなびいていると、その地点の風速は5m/秒程度、角度が90度くらい(水平)でなびいている場合には風速が10m/秒以上と判断できます。

 特に風速10m/秒は走行中の車両が横風にあおられる感覚を受けるレベルの風速であるため、吹き流しが水平になびいているのを見たらクルマの速度を落とし、ハンドルをしっかり握って運転することが大切です。

 なお大型トラックやトレーラーのほか、ミニバンやワンボックスカーといった車体側面の面積が広く、車高が高めの車両は一般的に横風の影響を受けやすいと言われています。

 また山間部や橋の上、トンネルの出口付近、周囲に遮るものがない開けた場所などでは強風が吹くこともあり、注意が必要といえるでしょう。

 そして強風の状況によっては高速道路の通行止めや速度規制がおこなわれる場合があります。

 NEXCO西日本が公表している「異常気象等による事前通行規制基準」では2024年5月1日現在、「強風については10分間の平均風速が20m/秒以上を目安とし、継続または継続が予想され、必要と認められる場合に通行止めを実施する」と明示しています。

 強風による交通規制をはじめ、高速道路の規制情報については高速道路各社のウェブサイトや公式SNSなどで確認できます。

 高速道路を利用する際は事前にチェックしておくと良いでしょう。

 そのほか2024年のゴールデンウィーク中には、高速道路において錦鯉柄の吹き流しを取り付ける粋な計らいが各地で見られました。

 これに関してSNS上では「横風注意の吹き流しが鯉のぼりになってて二度見した」「そういう遊び心好き」「渋滞でウンザリしているドライバーの癒しになる」など、好意的な声が多く寄せられています。

 2023年にもNEXCO東日本長岡管理事務所(新潟県長岡市)が錦鯉品評会の開催時期に合わせ、関越自動車道と北陸自動車道の一部で錦鯉柄の吹き流しを掲揚する取組みをおこなっています。

 今後も時期によっては高速道路の走行中に「鯉のぼり」が見られるかもしれません。

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 高速道路に設置されている吹き流しは、ドライバーが風の向きや強さを知るための設備です。

 強風が吹いているときはスピードを落とす、急ハンドルをしない、制限速度を確認するなど、安全な運転を心がけましょう。