車検のときには、ヘッドライトをいろいろ検査します。中でも明るさに関しては、この夏から検査方法の改正が完全施行される(10運輸局のうち、6運輸局では延期、4運輸局「北海道・東北・北陸信越・中国」では実施)ので、「ちょっと古いクルマ」には大変な問題になってくる可能性があります。今回は、検査方法の改正内容とそれまでにユーザーが準備できる対策について説明していきます。

ロービーム検査って何?

 クルマの車検で「ロービーム計測の全車徹底化」が進められています。
 
 これまでは「やむを得ない場合は、ハイビームだけクリアしていてもかまわない」といった除外規定があったのですが、ロービームの検査を「原則」としたのです。
 
 この車検規定は「2024年8月から正式適用」となっていました。しかし、これが一部地域で「2年延期」されることが決まりました。
 
 国土交通省、自動車技術総合機構、軽自動車検査協会は2024年5月14日、連名で以上のように通知したのです。

 この「ライトの車検は原則ロービームでおこなうこと」規定は、2015年9月1日にスタート。しかし「9年間は経過措置とする」とされたのです。試験する機械の都合や一部の測定困難な車両があったという事情をふまえて、異例の長い猶予期間が設けられていました。

 その「9年間の経過措置」がいよいよ終わり、例外なく全車がロービームテストをパスしなければならなくなりました。

 と思いきや、その経過措置がさらに「2年延期」となったのです。2026年7月末までは、「例外としてハイビームで計測してもOK」がまだ許されることになります。

 注意しておきたいのは、これは「全国的に移行する期限」であるということ。

 地域(つまり運輸局)によって対応は違います。具体的には以下のとおり。

【2024年8月から完全移行(延期無し)】
北海道・東北・北陸信越・中国

【2026年8月から完全移行(2年延期)】
関東・中部・近畿・四国・九州・沖縄

 この延期の理由について、自動車技術機構は「対象車数が多いことや様々な事情により、地域によってまだ十分に周知が進んでいないなどの現状があります。これを考慮し、猶予期間を2年延期することとしました。

 今後もひきつづき、円滑な移行に向けた取り組みを実施し、準備や調整が整い次第、地域ごとに全車ロービーム計測に移行してまいりますので、ご理解とご協力のほどよろしくお願いいたします」と話しました。