【北京共同】中国は3日、月の裏側から土壌や岩の試料(サンプル)を持ち帰る世界初の計画を実行するため、無人月面探査機「嫦娥6号」を海南省文昌の発射場から打ち上げた。中国国営メディアが伝えた。「宇宙強国」の建設を掲げる習近平指導部は月面での中国人による初の有人探査や基地建設も目指し、米主導の国際月探査「アルテミス計画」に対抗する。

 嫦娥6号は運搬ロケット「長征5号遥8」に搭載。月の裏側の南極域に着陸し、ロボットアームやドリルを使って土壌などを採取し、容器に入れて地球に運ぶ。帰還機は内モンゴル自治区に着陸する予定。任務期間を53日間と設定した。

 月の裏側は地球から見ることができず、直接の通信もできないため、3月に打ち上げた衛星「鵲橋2号」を介して嫦娥6号とやりとりする。嫦娥6号はフランス、イタリア、パキスタン、欧州宇宙機関の観測機器を搭載。月探査で国際協力を進める姿勢をアピールしている。

 国営中央テレビは3日、打ち上げ前から発射場の中継映像を交えて報道。中国の宇宙開発の進展を大々的に宣伝した。