ビジネスパーソンが抱える仕事やキャリアの悩みに、転職・仕事のプロがお答えする「お悩み相談室」。

今回のテーマは「新卒1年目、仕事が辛い。エンジニアとして就職したけど向いてないから辞めたい」です。この春に入社して約2ヶ月、初めての仕事や新しい環境に馴染めず辛い人もいるのではないでしょうか。

今回質問にお答えいただいたのは、新卒で地方ホームセンターへ入社後、マイナビやリクルート、スポットライト(現:楽天ペイメント)など7社を経験されたビジネスパーソン・motoさん。

何をやっても上手くいかないから辞めたい、でも周りからは今はそういう時期だと言われる……。こうしたお悩みに対し「今すぐ退職すべき」と話すmotoさんに、仕事が辛いビジネスパーソンに向けたアドバイスを伺いました。

Question

新卒1年目、仕事が辛い。エンジニアとして就職したけど向いてないから辞めたい
2024年春にIT系企業に入社した新卒1年目ですが、既に会社を辞めたいです。大学は文系ですが、就活で良さそうなところに内定をもらえず、それならば手に職と思って内定をもらえた文系・未経験歓迎のSIerに入社しました。入社前からプログラミングの研修が始まっていましたが、全くついていけない状態のまま、5月に客先常駐となりました。先輩に面倒を見てもらっていますが、役立たずどころか足を引っ張ってしかいなくて大変辛いです。会社からはITパスポートの取得を義務付けられていますが、受からず、勉強しても頭に入ってこず、会社で必要なこと全てにおいて適性がなくて、まだ入社して2ヶ月ですが仕事を辞めたいです。会社の人事、親や友人に相談しても1年目はそんなものという話をされますが、1年も働ける気がしません。一旦辞めて転職活動を始めても良いでしょうか。
(SIer/SE/新卒1年目 /20代女性)

すぐに辞めて第二新卒として転職活動をしよう

このまま今の仕事を続けていると、精神的に追い詰められてしまう可能性が高いです。すぐに退職して第二新卒として転職活動を始めましょう。

1人で転職活動をすると今回のようなミスマッチを繰り返しかねないため、エージェントを利用するのがおすすめです。第二新卒専門のエージェントもあるため、そうしたところに相談に行ってみてください。

エージェントには、入社してから退職するまでの2ヶ月で何があったかを話し、自分に合う求人を出してもらいましょう。紹介された求人の中に自分が楽しいと思えそうな仕事があれば、面接に行って話を聞いてみます。

そのときのポイントは、自分がその会社でどのような仕事をして毎日どのように過ごすのか、具体的にイメージできるまで話を聞くことです。そして、そのイメージした内容で自分がやっていけるかどうか考えてみましょう。

また、面接ではきっと退職理由を聞かれるはずですが、そのときは正直に理由を伝える方が良いです。ただし注意すべきなのは、 他責思考で話をしない こと。前の会社のここが悪かった、ではなく、自分のここが至らなかった、という伝え方をしましょう。また、その上で今後どのように取り組んでいこうとしているのかを話すようにしてみてください。

「この仕事に向いていない」と思ったらやるべきこと

「自分はこの仕事に向いていないのではないか」というのは、多くの人が抱える悩みかもしれません。世の中では「最低でも3年は勤めたほうが良い」といった意見もありますが、僕は向いていないと思ったらすぐに辞めるべきだと考えています。

ただ、向いているかどうかの判断は自己判断ではなく、 客観的に見て成果を出せているかどうかで考えたほうがよい でしょう。仕事がなかなか上手くいかずに辛いとき、先輩からもらったアドバイスを実行したら少しだけ上手くいったとか、頑張ったら成長できるという実感を得られるのであれば、もう少しその仕事を頑張ってみてもいいかもしれません。

しかしどれだけやっても成果が出ず、頑張っても怒られる、ただ辛いだけの状況ならすぐに辞めるべきです。やりたくないことを何年続けても意味がありません。

ただ辛いことを3年やり続けた人と、3年間楽しくいろいろな成長機会を得られた人を比べたとき、前者にはやり続けたという事実以外は何も残らず、後者はさまざまな経験やスキルが培われているはずです。そう考えると、向いていない仕事を我慢して続けるメリットがないのは明白でしょう。

会社に学ばせてもらうのではなく、自分が会社にどう貢献できるか

入社後のミスマッチを生じさせないためには、入社前に具体的な仕事内容をしっかり確認することが大切です。今回はその確認が甘かったのかもしれません。

会社側は採用のために自社の良いところを押し出してアピールしますが、それだけを鵜呑みにせず、自分でも仕事内容や働き方などを調べるようにしましょう。

それに、仕事をしながら手に職をつけたいというのは、会社に学ばせてもらうスタンスだと思います。僕がいつも言っていることですが、会社は学校ではありません。学ばせてもらうのではなく、 自分が会社に何を貢献できるのかを考えて働く先を選ぶべき です。

もしかすると学生や社会人経験が浅い人は、自分の経験やスキルで会社に貢献できるものがあるかわからないかもしれません。そのときは、これまでの人生の中で仕事に類似する経験がないか洗い出してみましょう。アルバイトや研究など、その過程で何を考えたのか、何ができるようになったのかを振り返り、それが仕事でどのように活かせるのかを考えてみるのです。

企業側も新卒や第二新卒に完璧を求めていません。あくまでポテンシャルで評価をしているため、そのポテンシャルの裏付けとしてこれまでの経験を伝えられるかどうかがカギになります。

第二新卒で転職し、次の会社で活躍している人はたくさんいます。心配せず、前向きに転職活動に取り組んでみてください。

プロフィール

moto(戸塚俊介)

1987年長野県生まれ。新卒で地方ホームセンターへ入社後、マイナビやリクルート、スポットライト(現:楽天ペイメント)など7社を経験。自身の転職経験をもとにした転職ノウハウやキャリア観などの発信がSNSを中心に話題に。現在はmoto株式会社、HIRED株式会社の2社を経営。

代表著書
『転職と副業のかけ算(扶桑社)』『WORK価値ある人材こそ生き残る(日経BP)』
企業サイト
moto株式会社/HIRED株式会社
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