「父の日」はいつ? 起源は?

 2024年の「父の日」は6月16日(日)です。父の日は6月の第3日曜日と決まっているため、年によって日付が変わります。なぜ、6月の第3日曜日が「父の日」になったのでしょうか。

 日本で親しまれている父の日の習慣はアメリカ発祥です。アメリカ・ワシントン州に住むソノラ・スマート・ドットという女性が、1909年に牧師協会に父親に感謝を伝える日を作ってほしいと嘆願したことが父の日ができるきっかけになりました。彼女の父は南北戦争に従事した軍人で、戦争から復員後は6人の子どもを男手ひとつで育てあげ、再び赴いた戦場で亡くなったそうです。

 1907年ごろから始まった「母の日」の存在を協会で知ったソノラは、「母の日があるのなら父の日があってもいいはず」と考え、牧師協会に「父の日」を祝うことを訴えました。その願いが聞き入れられ、1910年6月19日に初めての父の日の式典がソノラの住むワシントン州スポーケンで行われました。ソノラの父の誕生日にあわせ6月の第3週が選ばれたといわれています。

 その後、父の日をお祝いする習慣はアメリカ全土に広がり、1966年にはアメリカ合衆国第36代大統領リンドン・ジョンソンによって父の日が正式に6月の第3日曜日と定められ、1972年には第37代大統領リチャード・ニクソンによって公式な祝日として制定されることになりました。

日本では1980年代になって「父の日」が浸透

 日本には1950年ごろには父の日をお祝いする習慣が入ってきていましたが、長い間あまり知られていませんでした。大きな転機になったのが、一般社団法人日本メンズファッション協会が「FDC 日本ファーザーズ・デイ委員会」を1981年に発足したこと。翌年から「父の日黄色いリボンキャンペーン」が行われ、ベスト・ファーザー賞の発表と授賞式が行われるようになりました。また、この頃になるとデパートで販売戦略として父の日が取り入れられ、日本で父の日が浸透していきました。

「父の日」一般的に何を贈る?

 母の日のシンボルとなっているがカーネーションです。これは、母の日を祝う活動を行なったアンナ・ジャービスの母が白いカーネションが好きだったから。そこから、亡くなっているお母さんには白いカーネーションを、存命のお母さんには赤色のカーネーションを贈ることが一般的とされています。

 実は、父の日にもそのようなシンボル的な贈り物があります。父の日の発祥の地であるアメリカでは、一般的に父の日にバラの花を贈ります。1910年に初めての式典が行われた際、ソノラが父親のお墓に白いバラをお供えしたことに由来しています。

 その影響で日本でも父の日にはバラを贈ること多いようですが、日本では「FDC 日本ファーザーズ・デイ委員会」が父の日のカラーを黄色としたため、黄色のバラを贈ることが一般的だとされています。ただ、母の日のカーネーションと比べるとあまり定着していないかもしれません。

こんなに違った、各国で見る「父の日」

 日本同様、アメリカから父の日の習慣が伝わったカナダ、中国、イギリス、フランスなどでは6月の第3日曜日に父の日を行います。世界中を見渡してみると、日にちもお祝いの仕方も全く異なる父の日があります。

 イタリアでは、「サン・ジュゼッぺの日」である3月19日が父の日です。ジュゼッぺはヨセフのことで、イエス・キリストの父親です。サン・ジュゼッぺの日の歴史は古く、14世紀にはイタリア各地でお祝いが行われていました。1871年にはカトリック教会が「サン・ジュゼッペは全ての父親と世界中の教会の守護聖人」と宣言して以来、この日が父の日と見なされるようになったそうです。この日は盛大なお祝いをし、イタリア各地に伝わる伝統菓子を食べます。

 韓国には父の日は存在しませんが、母の日と父の日が一緒になった「両親の日」を5月8日にお祝いします。もとは母の日だったのですが、「父の日がないのはかわいそうだ」という意見があがり、同じ日にお祝いをするようになりました。プレゼントやカードを贈ることも多いのですが、現金やコンサートのチケット、旅行などを贈ることもあります。

 台湾の父の日は8月8日。理由は、その日が「パパ」と読むことができるため。末広がりの8が重なり、縁起が良い日だともされています。日頃は恥ずかしくてお父さんに「ありがとう」を伝えられない人は、「父の日」を利用して感謝の気持ちを伝えてくださいね!

(水浦裕美)