放置してしまっていたら…と考えると怖い

 コミックスマートのアプリ「GANMA!」でバトルマンガ作品『創造のリンゴ』を連載していた薙澤なおさん(@nagisawanao)は、最終話の原稿を提出し終えた頃の2024年1月に脳出血で入院しました。薙澤なおさんは当時、X(旧:Twitter)で「詳細はルポマンガにでもできたらいいなぁ」と語っており、約2か月後に詳細を伝えるマンガが実際に公開されました。

 マンガによると、薙澤なおさんはイラストを描いていたときに目のピントが急に合わなくなる違和感をおぼえたそうです。視点が合わないまま廊下に出たところで気を失ってしまいます。気付いたときには再び部屋のなかで、メガネが廊下に曲がって落ちていたり、床に血溜まりができていたりと「本人の記憶にないこと」が起きています。

 ここまでが第1話の内容で、作中の「まるで誰かがリセットボタンでも押したかの様に意識が飛びました」という表現が印象的です。気を失って目覚めてからしばらくは何があったのかもすっかり忘れていたそうで、当時の混乱の状況がマンガから伝わってきます。

 作品の投稿には「まさか先生にそんなことが起こっていたとは」「怖すぎる……復帰できて本当に良かったです」「貴重な経験を、取っ付きやすく理解しやすいマンガにして周知していただきありがとうございます!」など多くのコメントが寄せられました。3700件を超えるいいねがつき、「他人ごとではない。いつ自分の身に起きてもおかしくない恐ろしさ」と感じた読者も多かったようです。

本人は気を失った瞬間の出来事を覚えていない(薙澤なおさん提供)

 続く第2話では、その後の対応について語られています。救急安心センター事業(#7119)に相談電話をかけた後、救急車を呼ぶことになりました。しかし、車内でのやり取りを経て、救急車を降りて後日あらためて自らの足で病院まで行くことになります。その過程は「どうしよう」「怖い」という混乱と不安に満ちています。

 ここまで本作では「分からない」ことに起因する当事者ならではのつらさがひしひしと伝わってきました。脳神経外科でのCTで出血が確認されて即入院となりますが、倒れた翌日の本人の体感としては「意外と普通」「体調も普通」だったそうなので、もしそのまま放置してしまっていたらと考えるとゾッとします。ちなみに、家で床にできていた血溜まりは、医師によると「気を失って転倒したとき口のなかを切ったのでしょう」とのことです。

 本作は2024年4月の時点では第2話までが公開中で、今後に公開される第3話が最終話となることが予告されています。最終話に向けて作者から「伝えたいことをまとめ、どうにか完成させて次の仕事に挑みたいです」との意気込みも発信されています。なお、薙澤なおさんの今回の作品はAmazonでKindleインディーズマンガとしても公開されており、そちらは縦読み版として再構成されています。