少女マンガ雑誌「なかよし」の一風変わった付録

 少女マンガ雑誌といえば、ちょっとしたファッションアイテムや連載作品のキャラクターグッズなど、バリエーション豊かでかわいらしい「付録」も人気の理由のひとつです。毎月、付録を楽しみに雑誌を購入していたという人も多いのではないでしょうか。

 三大少女マンガ雑誌のひとつである「なかよし」もまた、そうした付録で読者を楽しませてくれますが、しかし時に、一風変わったアイテムが付録になることもあります。

●「なかよし」だった友人との関係が壊れちゃう?

 2014年8月号の付録は、「人狼ゲーム」に使う役職カードと遊び方の説明書でした。同ゲームは「村人」と「人狼」の2陣営に分かれて遊ぶ、会話と推理を楽しむパーティゲームです。村人は人狼を探り出すことを、人狼は正体をつかませずに村人を噛み殺していくことを目的とします。

 だまし合いがテーマのゲームなので、下手をすれば友人とギスギスしてしまうこともあるかもしれません。そのような人間関係を破壊しかねない物騒なゲームが付録になり、当時ネット上では「おいおい、冗談だろ……?」「挑戦的すぎてワロタ」「果たしてゲームが終わった後も“なかよし”でいられるかな?」などと大きな話題になりました。

 ちなみに、同号のメイン付録は「ウソ発見器」つき交換日記でした。こちらは外見がDVDケースにカモフラージュされた日記帳で、体温に反応する「ウソ発見シール」がついています。もしも勝手に読まれた時は「ウソ発見シール」で見破れるため、ヒミツの話をするのにも絶好の交換日記というわけです。「人狼ゲーム」関連アイテムは、このノートに付属されていたようですね。

●講談社つながりで……『彼岸島』雅様ポスター

 2015年4月号の付録は、講談社全マンガ誌協力「人気まんが家60人大集合ポスター」でした。2015年といえば、「なかよし」創刊60周年の記念すべき年です。講談社全体がお祭りムードで盛り上がっていたからこそ、実現した企画だったともいえます。

 ポスターは人気作品に登場するイケメンやかわいいキャラクターが並び、とても素敵なデザインなのですが、一角に真っ黒な背景のイラストが……。よく見てみると、ホラーアクションマンガ『彼岸島』のラスボスこと「雅」が不敵な笑みを浮かべているのです。

 しかもイラストの横には、「夢いっぱーい(ハート)やっぱりイケメン(ハート)」というアオリ文句付きでした。これにはSNSでも「雅様イケメン枠なんかい(笑)」「ポスターの一角だけ真っ黒で草」「『彼岸島』が異彩を放ちすぎててヤバい!」と、多くの反響がありました。

●なんで「なかよし」に『シャーマンキング』? 一部に驚きを与えた付録

 2021年1月号に付録された『SHAMAN KING(シャーマンキング)』のオリジナルエコバッグは、一部の人に大きな驚きを与えました。

『シャーマンキング』は、かつて「週刊少年ジャンプ」で絶大な人気を誇ったバトルマンガです。のちに講談社から新装版が発売されたものの、それにしてもなぜ「なかよし」の付録に『シャーマンキング』が登場したのでしょうか。

 実は、個性豊かなキャラクターが数多く登場する同作は、『SHAMAN KING レッドクリムゾン』『SHAMAN KING マルコス』など、本編の主人公とは別のキャラクターを主人公とした外伝作品が講談社から多数出版されています。そして「なかよし」2021年1月号からは、3人の少女を主人公とした外伝『SHAMAN KING &a garden』の連載が始まりました。つまりエコバッグの付録は、それを記念したものだったのです。

 経緯を知れば何ら不思議のない付録ですが、「週刊少年ジャンプ」時代のイメージが強かったファンには大きな衝撃を与えたようです。またエコバッグに描かれたのが、ラスボスであるハオの、本編では決して見せないような表情だったことも大きな注目を集めました。

 時々は、編集部の「悪ふざけ」的な付録があっても面白いですよね。次はどんな付録が話題になるか、楽しみにしたいところです。