熊出没のニュースが相次いでいる。この日、北海道で有害鳥獣駆除員として活躍する鹿撃ち専門のハンター、たばーよ(@zeal250sp)さんは、鹿の「忍び猟」を行うために痕跡を探している最中、巨大な「ヒグマ」の足跡を発見。X(旧Twitter)に写真を投稿した(※「忍び猟」獲物に気づかれないよう徒歩で接近して仕留める猟法)。

すると、足跡のすぐ側で、熊避けの鈴も鳴らさず黙々と山菜を取る男性の姿を目撃。注意喚起のため男性に挨拶をしたが、男性はたばーよさんの声を無視。そのまま山菜を取り続けたという。

たばーよさんの投稿に対し、「高齢で耳が遠かったのでは?」というコメントも見受けられたが、「男性は50代から60代ぐらいでした」と、たばーよさん。

「声をかけた際、ちらっとこちらを見てから背中を向けられたので、耳が遠いというわけではない様子でした。一般的な山菜取りの格好をした男性で、熊の足跡から100mほど離れた位置で山菜を取っていました」(たばーよさん)

巨大で新しい「ヒグマの足跡」

かなり大きな足跡だったため、たばーよさんは鹿撃ちに使用している「実包」(「サボットスラッグ」2.75インチ装弾)を足跡に置き、写真を撮影。

「メインターゲットは鹿ですが、ヒグマにも有効な装弾になります。実包の長さを測ったところ6cmでした。足跡は比較的新しく、2〜3日以内についたものだと思います。足跡の大きさと泥の沈み具合から、成獣なのは間違いないと思いますが、個体の大きさまではわかりません」(たばーよさん)

挨拶を無視した男性は「無事」

たばーよさんの投稿に対して、「無視されても注意して!」という声も寄せられたが、「確かにそうだったなと反省しています…」と、たばーよさん。

「もしヒグマの姿を見かけていたら、例え無視されようとも、もっと強くその人に危険性を伝えていたと思います。ただ私自身、山にクマがいるのは当たり前という認識ですので、クマの痕跡を見つけてもあまり動じなくなっており、危険と判断するレベルが一般の方とは乖離していたかもしれません…。

この時もやはり男性の安否が気になったので、翌日の早朝に現場を再訪しましたが、前日に見かけた男性のものと思われる車はなく、無事に帰宅されたようでほっとしました。今後はクマの痕跡の近辺で人と遭遇した場合、どんなに無視されても状況をお伝えするように努めます」(たばーよさん)

ヒグマ捕獲技術の伝承もなく…ハンター人口の危機

たばーよさん自身も過去に2度、山中でヒグマと遭遇しているという。三毛別羆事件や十和利山熊襲撃事件などを例にあげるまでもなく、ヒグマとの遭遇は非常に危険であり、クマ撃ちに長けたハンターでも猟は命懸けとなる。

多くの野生動物が生息する北海道、空知郡奈井江町では、命懸けの仕事に報酬が伴わないことなどから、地元猟友会が自治体の要請があってもヒグマ駆除の辞退を表明。奈井江町は急遽、ヒグマの駆除報酬を増額する方針を固めたという。

「北海道が春グマ駆除を廃止して34年。今になってクマが増え、対策を打とうにもハンター人口の減少、当時のベテランハンターのほとんどが引退してしまっていることなどから、捕獲技術の伝承もされておらず、ハンターの1人として行く末を案じています。有害鳥獣捕獲員として、私も自治体よりクマの捕獲の指示を受けており、クマを撃てる状況であれば撃つ覚悟です」(たばーよさん)

今回の投稿に対して、「挨拶しない人は山菜泥棒の人が多いって聞いた事あります」といった声も見受けられた。野山で出会ったハンターから声がけや挨拶があった場合は、「命に関わること」と、覚えておくのが良さそうだ。

(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・はやかわ かな)