藤井聡太名人(21)に豊島将之九段(34)が挑戦する第82期名人戦七番勝負(毎日新聞社、朝日新聞社主催)の第5局が北海道紋別市のホテルオホーツクパレスで始まり、1日目午後のおやつで豊島九段は「Curry Shop ルルコシンプ」の「カリンパニ」を注文した。カリンパニとルルコシンプはともにアイヌ語で、代表の宮嶋忍さん(44)は「アイヌの文化を全国の人に知ってもらえたら」と話している。

 カリンパニはエゾヤマザクラ、ルルコシンプは人魚のようなものを意味するという。カリンパニは桜フレーバーのノンアルコール炭酸飲料で、桜の香りをつけた氷とナタデココが入っている。紋別市はまだ桜のシーズンで八重桜が咲いており、桜をイメージしたドリンクを選んだ。

 市によると、紋別の地名はアイヌ語の「モペッ」(静かな川の意味)からきている。同店がある海洋交流館は、流氷クルーズができる流氷砕氷船の発着場所。流氷砕氷船「ガリンコ号Ⅲ」の名前につけられた「IMERU(イメル)」は光を意味するなど、紋別にはアイヌ語を取り入れた名前が多くある。宮嶋さんは「紋別はアイヌの方がたくさん住んでいた場所。名人戦を機に多くの人に知ってもらえたら」と話す。

 豊島九段がカリンパニを注文したことについて、宮嶋さんは「選ばれないと思っていたのでうれしい。炭酸飲料ですっきりしているので、飲んで頭を切り替えて頑張ってもらいたい」とエールを送った。【池田美欧】