「被害者のトラウマ(心的外傷)は計り知れない」−。トイレに侵入し女性を盗撮した疑いで鹿児島県警の巡査部長が逮捕されてから一夜明けた14日、警察官の性犯罪関連での相次ぐ逮捕に県民からは怒りの声が上がった。2020年以降5人目で「警察は信用できない」「組織的問題と受け止め、二度とないように対策を」と厳しい意見が聞かれた。

 「ショックだし、残念」と鹿児島市の20代女性は驚きを隠さない。「警察官は真面目で、社会の模範となる存在だと思っていた。最低限の理性すら保つことができないとは」と声を落とす。かつて職場で性被害に遭った経験があるという県内の30代女性会社員は「容疑者が警察官とは本当に許せない。今後も逮捕者が出てくるのでは」と怒りをあらわにする。

 近年、刑法は厳罰化したり規定を見直したりするなどして、性犯罪の抑止を狙っている。未然に防ぐとともに、加害者側へ向けられる目は一層厳しさを増しているにも関わらず、県警では20年2月に女子中学生へのみだらな行為、21年7月には同僚女性宅への侵入、23年10月には13歳未満の少女への強制性交、24年4月には不同意わいせつの疑いと、逮捕事案が続発している。幼児の娘を持つ同市の40代主婦は「また逮捕かという感じ。もう警察は信じられない」と語気を強めた。

 性犯罪の撲滅を訴え、性被害者が思いを語る場を設けている県内の50代女性は「性被害を告発するのは本人にとっては非常につらいこと。県警が信用できないとなれば、誰が被害者を守ってくれるのか」と憤る。

 その上で、23年10月に強制性交の疑いで警察官が逮捕された際、記者会見を開かなかった県警の対応を疑問視する。「逮捕された警察官個人の問題と矮小(わいしょう)化したからこそ逮捕が続いている。県警全体の問題として受け止め、具体的な対策をとってほしい」と訴えた。