函館の老舗和菓子店「千秋庵総本家」の宝来町本店(函館市宝来町)が5月15日、イートインスペースを新設してリニューアルオープンする。(函館経済新聞)

 柱や壁などはそのままに、床にレンガを敷くなどしてリニューアルした

 1860年、秋田藩士だった初代店主が日米和親条約による開港でにぎわう函館に渡り、菓子を売り始めたことが起源とされる同店。現在の宝来町本店は、1934(昭和9)年の大火で焼け残った蔵と一体になる形で再建された。

 再建から約90年を迎えるのを機に、昨年秋、老朽化していた建物の改装・補修工事に着手。併せて、来店客に歴史ある建造物をより楽しんでもらうため、近年は作業場として使っていた蔵を改装。風格を感じさせる木の柱や梁(はり)、砂壁などはそのままに、床にレンガを敷いて函館の「新たな和洋折衷のあり方」を表現したイートインスペースとした。店頭で買った菓子を持ち込んで食べられるほか、函館の老舗コーヒー店「十字屋食料品店」のコーヒーや、和菓子に合う緑茶やほうじ茶などを提供する。

 リニューアルに合わせた記念商品として、軽い食感のスフレ生地に粒あんと豆乳クリームをはさんだ「スフレどら焼き ふくる」(320円)、箱館醸蔵(七飯町)の日本酒「郷宝(ごっほう)」の酒かすと純米吟醸酒を使った「郷宝カステラ」(300円)、黒糖とこしあんで練り上げた羊かんにドライフルーツを加えた「あんと黒糖とラム酒の羊羹(ようかん)」(1,700円)を発売する。

 店長の瀬戸亜里沙さんは「函館に残されている伝統的な建造物の古さを楽ししみながらゆっくり過ごしてほしい。散歩や観光で歩き疲れた時に気軽に一休みできる空間になれたら」と話す。

 営業時間は9時30分〜18時。14日までは物販のみ営業する。