日向・細島の漁師・高田一人さんが陸上で育てたウニの試食会がを5月25日、日向漁協水揚場で行われた。当日は漁協関係者、行政関係者など約10人が試食した。(日向経済新聞)

 殻をむいて提供されたウニ

 日向では藻場を荒らすウニの駆除活動が行われるが、高田さんはウニが駆除され、捨てられるだけではもったいないと感じていた。2022年、資源生物科学を専門とし、クローバーを餌にウニを養殖する九州大学の栗田喜久准教授の元を訪れるなどし、翌2023年3月、自身でウニの畜養を始めた。ウニは餌を約90日間与えると身が太り、食べられる状態になる。時期に応じて廃棄されるはずだったカモミール、タケノコ、サツマイモ、茶葉、キャベツを餌として与えてきた。水槽に備えた海水ポンプの不調などで2度、畜養を中止。今回3度目の挑戦で、満足のいく状態まで育てることができたという。

 高田さんは「設備さえ整えれば、育てること自体はそれほど難しくないことが分かった。今後、試食会やウニの殻むき体験を行い、飲食店などの反応を見ていきたい。出荷先が見つかれば、地元の雇用にもつながる。海の環境に良い影響を与え、スーパーや農家から廃棄予定の野菜などを有効活用することもできることも知ってもらいたい」と話す。「味は天然物より苦みやえぐみが少ないと感じる人が多い」とも。