「東京建築祭」のキックオフイベントが5月20日、日本橋の三越劇場で開催された。主催は東京建築祭実行委員会(中央区日本橋小伝馬町)。(日本橋経済新聞)

 建築公開イベント「東京建築祭」 東京初回開催に建築ファン集う

 同イベント実行委員長で大阪公立大学教授の倉方俊輔さんは「建築に目を配ると見えてくるものがある。人を感じる、街を知るというコンセプトの通り、普段は一般公開しないオフィスや敷居が高いと思っていた店など、気になっていた建築の見学や、建築愛好家同士の出会いなど交流を楽しんでほしい」と話す。この日のキックオフイベントでは、三越劇場副支配人の齊木由多加さん、建築家の藤本壮介さん、ジンズホールディングスCEOの田中仁さんがゲストスピーカーとして登壇した。

 倉方さんは「どの建築がお薦めですかと聞かれることがあるが、全部お薦め。本来、建築にヒエラルキーはない。それぞれの良さは私が語るよりも来て見て感じてほしい。目当ての建築を見学した後に、近くにある他の建築ものぞいてみようか、と延長線で次々と向かってもらえるとうれしい」と話す。

  同建築祭は2014(平成26)年にスタートした「大阪の生きた建築ミュージアムフェスティバル」(主催¬=一般社団法人生きた建築ミュージアム大阪)が始まりで、その後、2022年から「京都モダン建築祭」、2023年の「神戸モダン建築祭」と続き、東京開催は今回が初めて。

 公開する建築物は専門家の選定によるもので、歴史的建築だけでなく現代建築も対象となっており、今回は日本橋・銀座・丸の内の3エリアが公開対象。日本橋エリアでは、三井本館(日本橋室町2)、三越劇場(中央区日本橋室町1)、日証館(日本橋兜町1)江戸屋(日本橋大伝馬町2)、日本橋高島屋(日本橋2)、水天宮(日本橋蛎殻町2)、アーティゾン美術館(京橋1)、ミュージアムタワー京橋(同左)、丸石ビルディング(千代田区鍛冶町1)のほか、裏通りに密集する小規模な建築も日本橋の魅力の一つとして紹介する。

 25日・26日の2日間は無料で特別公開を行っており18軒の建築が見学可能。主要な建築には、無料のオーディオガイドを設置。専用アプリと公式ページで提供する。エリア内書店では5月下旬まで、連携企画として「東京建築祭を楽しむ」ブックフェアやオンラインイベントを開催している。公式サイトで視聴できるものあり、実際に現地に足を運ぶだけでなく、建築祭に向けての予習、振り返りにも役立つ情報を学ぶなど、建築に対する知的好奇心を満たすことを狙うという。