能登半島地震の被災地でなかなか公費解体が進まないなか、それを受けられるか明暗を分ける「り災証明」に納得できず、再調査を求める住民や事業者もいます。

(大浴場で)輪島温泉八汐・谷口浩之常務「4ヶ月経ってもこんな状態かという話…まだ調査も来てないからね。あんまり片付けられない(中に入ってみないと)被害は分からないんですよ」

1959年創業、石川県輪島市鳳至町の旅館「輪島温泉八汐」は、地震で館内の天井がはがれ落ち、床がめくれ上がるなどの被害に見舞われました。

谷口浩之常務「この部屋が開かない、ずれて。(震災)当日から開かなくて。お客さんいたけど」

損害率が50パーセント以上が「全壊」、その次の段階が大規模半壊、中規模半壊、半壊とあり、そこまでが公費解体の対象となるほか、さまざまな行政の支援を受けられます。しかし、八汐は罹災証明のための1次調査では「一部損壊」と認定されました。

今のままでは、公費解体ができません。旅館は宙に浮いたままの状態です。

谷口浩之常務「2次調査で公費解体となれば進むけど。公費解体じゃなければ、直すか直さないかをやらなきゃいけない。再建しようにも準備ができないのが悩みどころ」

再調査を依頼した2月からすでに2か月以上が経過し、旅館は輪島で再建したいという思いを抱えながらも、なかなか前に進まない現状にもどかしさを感じています。

谷口浩之常務「せっかく公費解体というスキームがあるなら、公費解体してもらった方が借金も増えないからそっちが良い」

MRO


1次調査は建物の外側だけを見て認定が行われますが、今回の旅館は見かけには建物がしっかりたっているものの、内部の被害が大きいため、谷口さんも一部損壊には納得がいかないと話しています。

先が見えない状況の中、およそ50人いた従業員は全員退職していて、建物の解体・撤去が進まないことには、事業者のなりわい再建にこぎつけることも難しいのが実情です。