長野県の駒ケ根市地域公共交通協議会は1日、観光トップシーズンに合わせて、駒ケ根高原に点在する観光拠点を巡る「山麓周遊バス」の今年度の実証運行を開始した。観光客らが周遊するのに適した交通システムを探る取り組みで、今年で4年目。乗客の利便性を高めるため、1日の運行本数を前年度の4便から6便へと拡大し、停留所数も7カ所から10カ所へと増加。26年度の本格運行を視野に、効果的な運行ルートやダイヤの設定を検証していく。

 運行期間は12月1日までで、夏から紅葉シーズンにかけて楽しんでもらおうと、前年度から1カ月延長。バスは座席上の天窓が開くタイプで、好評を得た前年度に引き続き採用した。運行ルートは、駒ケ根ファームスを発着点に、大沼湖、光前寺、こぶしの湯、養命酒製造駒ケ根工場、ビアンデさくら亭、北川製菓、マルス駒ケ岳蒸溜所、こまゆき荘、ぴんころ神社を回る1周1時間のコース。駒ケ根ファームスを発車する時間は午前10時10分の始発から第6便まで、1時間間隔にした。運賃は1回500円、1日券1000円(小学生以下は無料)。

 初日の午前中は雨が激しく降り、利用客は伸びなかった。始発のバスを見送った市の担当職員は「観光客をはじめ、市民の皆さんにも乗車してもらい、駒ケ根高原の魅力を感じてもらえれば」と願っていた。

 同協議会は2021年度、中央アルプス山麓の多彩な観光資源を結んで周遊を促進させる交通システムの導入を目指し、実証実験を開始した。運賃を有償に切り替えた2023年度は7月1日〜10月末に運行。1便当たりの平均利用者数は2・1〜3・4人と芳しくなかった。ただ、利用者には、車両設備や自然環境などが好評で、大半が運行の継続を希望したという。