日銀長崎支店長に6月24日付で就いた伊藤真氏(49)が1日、長崎市炉粕町の同支店で着任会見に臨み、「県内くまなく足を運び、企業経営者の方々と対話を深めたい。皆さんの声や金融経済情勢を(日銀)本部にしっかり伝え、県内経済発展に少しでも貢献したい」と抱負を述べた。
 その中で特に二つの視点を重視するという。日銀の政策判断に必要な要素として「これまでにないほどの物価や賃金の上昇が企業行動や経済構造にどのような変化や影響をもたらしているかを、まだ統計に表れない段階でも確認していく」とした。もう一つは「企業や行政、教育機関が地域経済発展に向けどう取り組もうとしているか」を挙げた。政策委員会室での経営陣のサポートや、システム開発・運用に長く携わった経験を踏まえ、意見交換したいと意欲を述べた。
 本県には訪れるのも初めて。「異文化との長期にわたる交易や文化的交流を通じて多様性が育まれ、発展してきた地域」との印象を持っているといい、欧州中央銀行出向など約5年間の海外駐在経験から「親近感を覚え、勤務が楽しみ」と話した。
 会見には調査統計局参事役に転出した前任の黒住卓司氏(50)も同席。「企業間で収益面の格差が生じつつあるのを危惧している。どう県全体のパイを大きくするかを、よくよく考えないといけない時期に来ている。経営者は高齢の方が多いので事業継承がもう少し進んでいくのが重要」との見方を示した。