アウディジャパン(東京都品川区、マティアス・シェーパースブランドディレクター)は、東京・麹町に蓄電池型超急速充電器を備えた電気自動車(EV)充電施設「アウディチャージングハブ紀尾井町」を開設した。同ハブの開設はアウディ全体で世界で7番目、欧州以外では初めてとなる。急速充電により都心でのEV充電ニーズに対応。アウディ車以外の充電も可能だ。周辺に商業施設が立地する良好な環境を生かし、待ち時間を買い物に活用するなど利用者に“プレミアム”な充電時間を提供する。(間瀬はるか)

都心部の充電器整備は設置スペースが限られることもあり道半ばの状況にある。集合住宅が多いことも、自宅での充電を望むユーザーにとってEV購入の障壁となる。日々の仕事や生活を充実したものにしたいユーザーにとっては、充電時間の長さもやっかいな問題だ。アウディでは急速充電機能を備えたチャージングハブの設置を通じ、こうした都心部特有のEVの課題解決に貢献する構えだ。

アウディチャージングハブ紀尾井町は容量358キロワット時の蓄電池を2基設置し、1基でEV2台の同時充電が可能。1台充電時の最大出力は150キロワットで、平均として約30分間で残量20%の状態から80%まで充電できる。施設の屋上には太陽光発電パネルを設置し、設備の電力を賄う。

蓄電池2基のうち1基(2口)はアウディ・ポルシェ・フォルクスワーゲン(VW)3ブランドのEVオーナーを対象とした「プレミアムチャージングアライアンス(PCA)」メンバー専用基。もう1基はPCAメンバー以外の他ブランドのEVユーザーにも提供する。

アウディはこれまでにドイツやスイスなどでチャージングハブを6拠点展開している。独ミュンヘンなどの大都市でも充電スペースの不足が課題となっていた。欧州で蓄積した知見を活用し、22年から2年間かけて東京での充電施設開設プロジェクトを進めてきた。

急速充電を実演するアウディジャパンのマティアス・シェーパースブランドディレクター

アウディジャパンのシェーパースブランドディレクターは「日本でEVはまだメーンストリーム(主流)ではない。そうした市場の中に入ってアウディブランドを確立しつつ、日本のユーザーにEVの魅力を伝えたかった」と背景を説明。特に自宅で充電ができないユーザーが多い地域を想定し、東京・紀尾井町のアウディ販売店近隣で利便性の高い場所での設置を決めた。

紀尾井町エリアには商業施設やホテルなどが立地する。利用者には充電の待ち時間を休憩や買い物などに有効活用してもらいたい考え。シェーパースブランドディレクターは「PCA以外のユーザーや、急速充電を体験したことがない多くの人に利用してもらいたい」と期待を込める。2025年には東京・芝公園エリアにもチャージングハブを開業する予定だ。


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