こんにちは。伝説のレディース暴走族雑誌『ティーンズロード』3代目編集長をやっていた倉科典仁と申します。ティーンズロードは1989年に創刊され、90年代には社会現象に。現在は廃刊となっておりますが、そんな本誌に10年以上携わっていました。
 昨年この連載で「若い年齢層の旧車女子たちが増加中」というお話をさせていただきました。今回は、それを裏付けるように旧車女子たちが集まりツーリングを行うとの情報を聞きつけ、私がプロデュースするYouTubeチャンネル「ナックルズTV」スタッフを連れて現場に向かったときの様子を紹介したいと思います。

◆全員が「旧車會女子」の迫力に驚愕!

 そこには30台以上のカラフルにドレスアップされた旧車がずらりと並べられ、旧車を愛する「旧車會女子」たちが、まるで女子会さながらに盛り上がっていました。

 さすがに女性が30人以上集まっているところに入っていくのは、30年前のティーンズロード以来なので、正直すこし気圧されながらも話を聞きたい一心でその中に入っていきました。

旧車會女子 ぐるりと彼女たちを観察してみると、下は17〜18歳、上は30〜40歳ぐらいでしょうか。幅広い年齢層の女性たちで、わたしたちが「ちょっとお話を聞きたいのですが」と切り出すと、「恥ずかしい」と言いながらも優しく対応してくれました。

 今回は某旧車會の女性が旧車會女子同好會仲間に声をかけ「男子禁制のガールズツーリング(通称“女子ツー”)をやりましょう!」と声をかけたところ、関東近辺の旧車女子が続々と参加表明をしてきたとのことなのです。

 実際は10年以上前にも“女子ツー”はあったらしいのですが、その時には若干名の男子が参加していたり、車や原チャリなども一緒に走っていたらしく、今回の女子ツーに関しては「単車に乗る旧車女子限定」という条件に絞り込んで行うことになったそうです。

 そして、250〜400ccの旧車が30台以上並び、文字通りに全員が女性オーナーの“女子ツー”が実現したのです。

◆旧車會女子とレディースの違い

旧車會女子 私はレディース暴走族を数えきれないほど取材してきましたが、令和になった今、こんな光景が見れるとは夢にも思いませんでした。

 もちろん、当時とは違って全員が免許を持っており、「交通ルールを厳守して走る」という条件で集まっているので、基本的にはハーレーに乗るおじさんたちのチームと何ら変わらない状況だとは思います。

 私が知っている時代のレディース暴走族のイメージと、令和の旧車女子たちの大きな違いは、ほとんどの単車がギャル仕様(キラキラ系の派手なペイントやドレスアップ)で、今どきのカワイイ的なデザインが多く、硬派なイメージの「族車」とは異なります。

 ファッションも同様です。旧車會女子の皆さんは、いわゆる特攻服とは正反対に、それぞれが女子力の強いファッションを楽しんでいる様子でした。

 ご両親の影響で旧車に興味を持ち、旧車乗りになった10代の子から「昔レディースやってたんです」というお姉様系旧車女子まで、年齢層がとても広く、これまたティーンズロードをやっていた頃には想像できなかったことですね。

 親子や友達とのリアルなコミュニケーションがどんどん薄れていく時代に、「族車」を共通アイテムに繋がり、みんなで楽しむというのは、暴走行為などしなければ、とても面白い現象なのかなと。

 言うまでもなく、社会的には難しい部分があることは承知ですが、私個人としては、他人に迷惑をかけない範囲で、交通ルールを守りながら楽しんでいただければと思っています。

旧車會女子(追伸:このツーリングの最大の目的であるゴール地点でのBBQでは、年齢関係なく、皆さんで盛り上がって、大量のお肉を秒で平らげ親睦を深めていました)

<取材・文/倉科典仁(大洋図書)>

―[ヤンキーの流儀 〜知られざる「女性暴走族」の世界〜]―



【倉科典仁(大洋図書)】
伝説のレディース暴走族雑誌『ティーンズロード』をはじめ、改造車だけを扱うクルマ雑誌『VIP club』や特攻服カタログ『BAMBO』、渋谷系ファッション雑誌『MEN’S KNUCKLE』など、数々の不良系雑誌の編集長を務めて社会現象を起こす。現在は、大洋図書発行の実話誌『実話ナックルズ』のYouTubeチャンネル「ナックルズTV」や、ギャル男雑誌『men’s egg』をWebで復活させたYouTubeチャンネル「men’s egg 公式」のプロデューサーとして活躍中。