創業34年、温泉浴場としては鹿児島県内最大級の規模を誇り、「スーパー銭湯」のはしりである「太陽ヘルスセンター」(鹿児島市)が今年3月末、惜しまれながらその歴史に幕を閉じた。

 営業時間は早朝4時〜深夜2時まで。ジェットバスや電気風呂、水風呂、打たせ湯、寝風呂、ミニプール、蒸気と遠赤外線のサウナも完備している。開業当時は1日1000人以上の入浴客が訪れていたが、近年は1日400人前後に減少していたという。

 創業者の種子島登さんがこう言う。

「開店当初から24時間営業のスーパー『まるいストア』にテナントで入ってもらい、『スーパー銭湯』と呼ばれていました。盆や正月は入浴客であふれ返っていた」

 昨年以降、電気代とガス代が高騰。不動産業の利益で赤字を補填していたが、配管設備の老朽化、後継者問題もあり、やむなく事業の継続を断念した。

■ゲイカップルがサウナ内で性行為

 閉店に追い込まれたもう1つの大きな理由が10年ほど前から深刻化した「ハッテン場」問題だ。

「見回りを強化し、プールの窓やドアを外して死角をなくすなど対策を講じましたが、それでも解決しなかった。男同士が全裸で抱き合ったり、湯気で見にくくなった蒸気サウナで性器をくわえているのを目撃。『出ていけ。二度と来るな』と言って追い出しました。常に見回らなければならず、それだけのスタッフもいません。同じ趣味を持つ者同士がSNSで知り合い、待ち合わせ時間を決め、現地で会う。ネットにそんな書き込みがありました。閉店するにあたり、お爺さんに連れられて来たというお孫さんから『なくなったら、どうしたらええか』と嘆かれました」(種子島さん)

 鹿児島市内の公衆浴場はすべて天然温泉で、入浴料(460円)だけでサウナも利用できることから、市内の一部公衆浴場が格好の「出会いの場」になっている。

「LGBTを否定するつもりはありません。行為自体の問題です」と、県公衆浴場業生活衛生同業組合の永用八郎副理事長がこう続ける。

■「他にお客さんがいる公衆の面前でする必要があるのか」

「2人連れの男性がサウナの中で口淫や自慰行為をしている。その気もないのに一般のお客さんが誘われたり、突然、体を触られ、『何をするんだ』って怒ってケンカになります。同性愛者もお客さんですから、『来るな』とは言いません。風呂に入って普通に帰ってくれればいいのです。なぜ、他にお客さんがいる公衆の面前でする必要があるのか。サウナのドアを開けてその場に遭遇したら、びっくりしますよ。お子さんだっているんですから。公然わいせつです。現行犯でなければ警察が取り締まれないというなら、出禁にするしかない。それでも書き込みを見てやって来る。風評被害も心配ですし、かといって人を雇ってずっと監視するわけにはいかない。県内で『温泉に行こう』と言えば、銭湯に行くということ。ほとんど朝から営業していますし、それくらい地元に密着しています。健全な場所に戻したい」

 お年寄りにとって入浴は日々の大切な習慣であり、公衆浴場は地元民にとって憩いの場だ。そんな癒やしの空間が、一部の同性愛者の不届きな行為により、存亡の機にさらされている。