朝日新聞社刊『大学ランキング』掲載の河合塾の学力偏差値による「私大入学ランキング」から、2018年度版(2017年入試データ)と2025年度版(2024年データ)と比べ、私大で難化しているケースをおおよそ偏差値50〜52.5以上に限って、学部系統別の偏差値の順に探ってみた。

 同じ大学の同系統の学部でも、2025年度版でランクが違う場合には上位から上昇率が高い順に紹介している。また学部の新設や学部改編したケースは除いてあるので、あくまでも事例として参照していただきたい。

■社会科学系で偏差値が上がった大学・学部は?

 まず社会科学系である。立教大経営・法、上智大経済・総合人間科学、青山学院大経済・経営、同志社大社会・経済・商、学習院大法・経済、中央大経済・商、法政大法・社会・経営・経済・現代福祉、成蹊大経済、関西大社会・法・政策創造・経済・商、成城大法、国学院大法・経済、東洋大社会・経営、武蔵大経済、明治学院大法・社会、駒沢大法・経済・経営、専修大法・商、近畿大総合社会・法・経済・経営などが挙げられる。

 特に立教大経営と法政大法のランクアップが目立った。立教大の経営は、BLP(ビジネス・リーダーシップ・プログラム)が注目され、受験生の人気を集めた。またGMARCHクラスで、法学系が公務員人気や資格志向の影響で、女子受験生が増加しているようだ。 成城大・ 明治学院大・ 国学院大なども同様だろう。ただ日本大は易化している。関西圏では同志社大や関西大、近畿大の健闘が目につく反面、関西学院大がやや易化傾向にある。

人文系は心理学系の学部が上昇…慶応大学SFCは復調

【人文系】では、早稲田大文化構想・教育、青山学院大総合文化政策、法政大文、立教大文・現代心理、同志社大文、学習院大文、中央大文、専修大人間科学、中京大心理、立正大心理、玉川大教育、近畿大文芸などが難化した。特に心理系の上昇が目につく。これも女子受験生の動向がポイントだろう。

【学際系】では、慶応大総合政策・環境情報、早稲田大人間科学、国際基督教大教養、青山学院大社会情報、法政大キャリアデザイン・人間環境、立教大異文化コミュニケーション、立命館大政策科学、南山大総合政策、関西大総合情報、日本大芸術、愛知工業大情報科学、名古屋学芸大メディア造形などが難化した。慶応大総合政策・環境情報(SFC湘南藤沢キャンパス)の復調は注目できる。学際系はさらに多様化が進んでいることが分かる。

【理工系】では、早稲田大基幹理工・創造理工、芝浦工大デザイン工、法政大情報科学、立命館大情報理工、工学院大情報・建築・工・先進工、東京電機大未来科学・システムデザイン工などが難化した。時代のトレンドにある情報科学系が目立つ。工業系単科の工学院大や東京電機大で難化した学部が多い。デザイン系などの人気復活も、モノづくりイメージの旧来とは違う工学系として女子受験生にも人気が高いようだ。

【医学部】はもともと難関学部であるが、近年は伝統のある首都圏の医科大学の難化がとりわけ目立つ。順天堂大・昭和大・東京医科大・東京慈恵医大・日本医大・帝京医大などの医学科などが、軒並み難しくなっている。日本大医は変わらず。易化したのは東京女子医大くらいだ。

 その一方で、地方私大の医学部はあまり難化していていない。地域の医師偏在を解消するために各大学や各都道府県で設定されている「医学部地域枠」設定などの影響もある程度、考えられる。

(木村誠/教育ジャーナリスト)