「もうちょっと点を取ってほしいですね(笑)」

 お立ち台で開口一番、こう言って笑いを取ったのが、阪神の才木浩人(25)。

 12日のDeNA戦で9回128球の完封勝利。1-0の投手戦を制し、リーグトップタイの4勝目(1敗)を挙げた。

 その才木が公立校の須磨翔風高(兵庫)からドラフト3位指名されたのは2016年。金本知憲監督の就任1年目だった。身長189センチの恵まれた体躯もあり、ポテンシャル重視の「金本ドラフト」のお眼鏡にかなった。

「しかし、若手時代の酷使が運命を狂わせました」とは某全国紙記者。

「才木は20年に右肘靱帯のトミー・ジョン手術を受けた。19年5月ごろから右肘に違和感を覚え、一時は歯磨きする時さえ激痛が走った。これは、その前年(18年)の登板過多が影響しているのは間違いありません。プロ2年目を迎えた才木はその年、一軍で22試合82回、二軍で8試合43回の計125回を投げています。たとえばロッテの佐々木朗希のプロ2年目は、一軍11試合で63回3分の1、二軍5試合20イニングの計83回3分の1。球団の方針で大事に育てられた結果、今オフのメジャー挑戦を見据えている。カラダが完全に出来上がる前に酷使され、故障する逸材は枚挙にいとまがないですが、才木もそのクチといえます」

 才木の入団時、担当スカウトは「藤浪晋太郎以上になる」と話していた。その見立ては正しかったわけだが、1年目から大事に育てていればそれこそバリバリのエースとして活躍していたかもしれない。

「トミー・ジョン手術で再建した靱帯の寿命は投手によって長短はありますが、だいたい5年程度といわれています。あの大谷翔平も18年に1度目の出術をした5年後の23年に、右肘にメスを入れています」(前出の記者)

 才木は20年の手術から3年半が経過した。コンディションにはくれぐれも気をつけてもらいたいものだ。

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 小学時代の才木は捕手に専念していた。「10円ハゲをいくつもつくることもありました。キャッチャーとして投手を引き立て、勝つことを目指す中でいろいろと大変なこともあったようで…」とは167センチと恵まれた体を持つ母・久子さん。久子さんやかつての指導者らが語る村上の「意外過ぎる姿」とはーー。

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