大相撲で大関経験者の朝乃山(30=高砂)が、約3年ぶりに三役に復帰した夏場所(12日初日、東京・両国国技館)を休場することが決定的となった。8日、都内の部屋で稽古。4月25日の春巡業で春巡業で右膝内側側副靱帯(じんたい)を損傷し、全治3週間の診断を受けて以降、稽古場に降りるのは前日7日に続いて2度目だったが、最後まで土俵には上がらなかった。その後、報道陣に対応し「気持ちは出たいけど、体が『出るな』と言っている。今は7月場所に向けて、という気持ちになっている」と、途中出場はせず、全休の可能性を示唆した。

この日は土俵周りで、四股やてっぽうなどで汗を流した。ただ、痛めた右膝に約1週間前までギプスを着けていたため、右足全体の筋力が戻っていない。右太もも裏は「すぐつる。右と左の筋力のバランスが悪くなっている」といい、相撲を取る稽古は、再開の見通しも立っていないという。医師からも「出たら悪化する」と言われている。朝乃山は「徐々に良くはなっている。最初と比べたら格段に。とはいっても、初日から出るのはほぼ無理」と、少なくとも初日からの休場は避けられないと考えている。

6場所出場停止から幕内に復帰後は、相次いで別の箇所をけがし、万全の状態で出場できた本場所は少なかった。ようやく約3年ぶりに三役で迎える場所で、出場の意欲は今も強い。医師からは「回復は早い」とも言われているという。ただ「目先のことを考えるか。先のことを考えるか。昔から、膝のケガだけは避けたいと思っていたけど…」と、初めて負った膝の負傷だけに、慎重に対応したい考えだ。

正式には9日に師匠の高砂親方(元関脇朝赤龍)と話し合ってから、出場可否を決める。ただ高砂親方も「もちろん本人が一番悔しい。ただ(出場は)しっかり治してから、と本人とも話している。せめて(この日)ぶつかり稽古ぐらいできていれば、また違ったかもしれないけど。膝は、肉離れとかとは違う。無理して出したくはない」と、気持ちは休場に傾いていることを打ち明けた。