◆ウエスタン・リーグ ソフトバンク8―1広島(1日、タマスタ筑後)

 ソフトバンクの育成4年目、佐藤宏樹投手(25)が先発し、自身最長イニングとなる5回を投げて3安打1失点と好投し、公式戦初勝利を手にした。

 初回は、先頭打者に詰まりながら中前打を許したが後続を切って順調な立ち上がりを見せた。しかし、2回1死から四球。2死としたが再び四球と失策で満塁のピンチを招き、押し出し四球で1点を失った。

 3回からは軌道修正した。「初球は絶対ストライクということと、(球が)高めに行ってもいいから、しっかり指にかけて、腕を振ることを(捕手の)嶺井さんとも話した」。3、4回は安打を許したが無失点。5回は初めて三者凡退を奪った。

 今季、ウエスタン・リーグでは、2番手として2回2失点だった4月9日のオリックス戦(タマスタ筑後)の登板のみ。松山秀明2軍監督は「元々、そんなにすごくいい成績を残した訳ではない。今日は最高のピッチングじゃないですかね」と評価。さらに「四球は確かにあったけど、元々コントロールが良くて、球の力でストライクゾーンに行けばなんとかなるタイプの投手。今までは立ち直れずにズルズルいってしまうことが多かったけど、そういう意味では自信になると思う」と目を細めた。

 試合後、小笠原孝2軍投手チーフコーチらが見守る中、バットを振りながら、投球動作を再確認した。「今日の投球を動画で見て、課題を克服するためにやった」と佐藤宏は語る。

 慶大時代は、1年秋に3勝を挙げ、優勝に貢献。その後は左肘痛に悩まされ、上位指名の可能性もあったが、2020年ドラフト会議直前の10月にトミー・ジョン手術を受けた。その後のリハビリも経験しながら、ようやくプロでの公式戦初勝利を手にした。

 それでも佐藤宏は強調する。「自分の勝利より、まず長いイニングを投げたことがないので。今日のピッチングは今日。次はもっと長く投げられるようにやっていくだけ」と闘志を燃やしている。(浜口妙華)