2024年4月30日、独国際放送局ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトは、中国の競泳選手23人のドーピング問題について、米国のアスリート団体が独立した調査を求めていると報じた。

記事は、米国水泳アスリートアドバイザリーカウンセルと米国代表アスリート委員会が同29日に、米国家薬物管理政策局(ONDCP)のラフル・グプタ局長宛に書簡を送り、禁止薬物の陽性反応が出たにもかかわらず処分を受けなかった中国人選手23人について独立した調査を求めたと紹介。書簡には「アスリートとして、私たちは世界アンチ・ドーピング機構(WADA)が公正な競争を保証し、私たちの権利を守る基準を設定し、実施することを信じなければならない。しかし、陽性反応が出た中国人選手23人をめぐってWADAが自らの規則と手続きに従わなかったことは、その信頼を壊すものだ」と記されており、開催が迫るパリ五輪・パラリンピックの公平性に対する懸念も示されたと伝えた。

そして、中国の反ドーピング機関が21年1月に中国人選手23人のサンプルで陽性反応が出たと裁定したのに対し、WADAは有効な方式による告発を行わず、その後開かれた東京五輪では、陽性選手が数多く出場した上、3人が金メダルを獲得したとしている。

また、これまでいかなる規定違反もなかったと強く否定してきたWADAが先週、スイスのベテラン検事エリック・コティエ氏を任命してこの問題の処理方法を検討すると発表したことを紹介。この動きにグプタ氏は「最近のドーピング疑惑を解決するための重要な第一歩」との認識を示した一方で、WADA本部があるスイス人検事の選出であることから審査の範囲が限定的になる可能性があるとの批判も出ていると伝えた。

記事は、グプタ氏はWADA執行委員会メンバーという重要なポジションにあること、WADAの年間運営資金の半分は政府からの支援金であり、米国が過去にWADAが使命を果たしていないとして支援金の支払いを遅らせたケースがあることを併せて紹介した。(翻訳・編集/川尻)