Gertrude Chavez-Dreyfuss

[ニューヨーク 29日 ロイター] - 米国の担保付き翌日物調達金利(SOFR)先物オプション市場では、米連邦準備理事会(FRB)が今年から来年にかけて25ベーシスポイント(bp)の利上げを1回実施する可能性が高まったことが示されている。

先物オプション市場に基づくバークレイズの推計では、SOFRが現在の5.31%から今年12月までに25bp上昇して5.56%となる確率は、4月上旬には約26%だったが、直近では29%に上昇した。

もっとも、実際にFRBの追加利上げを予想している市場関係者はほとんどいない。SOFR先物は、年内に約30bpの利下げが実施されることを織り込んでいる。

ただFRBが今年の利下げを1回のみにとどめるか、もしくは利下げを全く実施せず、高金利を長期間維持する可能性は十分あるとみられている。

先物オプション市場に基づくBNPパリバのデータによると、今年利下げが全く実施されない確率は1カ月前の20%から31%に上昇した。25bpの利上げが来年実施される確率は22%。 

アナリストらの話では、FRBが政策金利を再び引き上げるには、前提条件としてインフレの本格的な再加速が必要になる。そうした状況は大半のエコノミストにとって基本シナリオではない。

インフレは昨年終盤に鈍化したものの、足元では高止まりしている。25日に発表された第1・四半期の食品とエネルギーを除くコア個人消費支出(PCE)物価指数は3.7%上昇し、伸びは昨年第4・四半期の2.0%から加速した。

また26日に発表された3月のPCE物価指数は前月比では0.3%上昇と前月と同じ伸びだったが、前年同月比では2.7%上昇して伸びは前月の2.5%から加速、FRBの目標である2%を大きく上回った。

シティの短期金利トレーディング責任者、アクシェイ・シンガル氏は「仮にFRBからの発信が無く、データのみから判断するとすれば、当社は利下げではなく利上げを織り込むだろう」と述べた。

BofAセキュリティーズの金利ストラテジスト、ブルーノ・ブライジンハ氏は、経済指標が大幅に改善しない限り、市場が利下げ予想から利上げ予想に移行することはない、との見方を示した。