Joseph White Christoph Steitz

[ミュンヘン 22日 ロイター] - 欧米自動車大手ステランティスのカルロス・タバレス最高経営責任者(CEO)は22日、欧州の電気自動車(EV)市場では中国勢との競争が今後本格化すると予想し、その結果として雇用と生産に重大な影響が生じるとの見方を示した。ミュンヘンで開かれたロイターの自動車関連会合で語った。

米政府は22日、中国製EVと同部品に対する関税を8月1日に最大100%に引き上げると発表。欧州連合(EU)欧州委員会は中国製EVに関税を課すかどうかの判断を6月5日に示す予定だ。

タバレス氏は、欧米へ輸入される中国製自動車に対する関税は「その道筋を進む国にとって大きな罠である」と指摘するとともに、欧米の自動車メーカーが低コストの中国勢からの挑戦に応じるためのリストラを関税によって回避できるわけではないと語った。

さらに同氏は「コスト面の競争力で中国勢が30%ほど有利な競争を戦うとき、社会的な影響が生じる。だが欧州の政府は現在、そうした現実に向き合いたくないのだ」と述べた。

同氏は、関税はそれが課された地域のインフレを煽るに過ぎず、販売と生産に影響する可能性があると指摘。「ダーウィンの(進化論で説明できる)時代について話しているわけではないが、現在はそうした局面にある」と述べ、アジアのライバル勢との価格競争は「非常に厳しく」なると付け加えた。

タバレス氏によると、中国の自動車メーカーは既に、欧州で市場シェアが10%となる150万台を販売する道筋を進んでいる。

同氏は「中国勢の相手先ブランドによる生産(OEM)のシェア拡大を放置すれば、そうした競争への対策が講じられない限り、明らかに供給過剰の状態になる」と警鐘を鳴らした。