[ロンドン 22日 ロイター] - 20カ国・地域(G20)の金融監督当局でつくる金融安定理事会(FSB)は22日公表したコマーシャルペーパー(CP)と譲渡性預金(CD)に関する報告書で、これらの市場に生じた緊張が金融システム全体に波及する恐れがあるため、内在する脆弱性を解決する必要があると強調した。

短期的な資金調達手段として幅広く利用されているCPとCDの市場規模は3月末時点で合計4兆7000億ドル前後とみられている。

FSBは、具体的な脆弱性として(1)満期まで保有が基本という商品の性質から流通市場が限定的(2)ディーラーの集中(3)市場の不透明性などを挙げた。また取引プラットフォームの電子化は進展が乏しく、相対的に利益率が低い市場ということもあり、業界主導の取り組みも規模と効果の両面で限られているとの見方を示した。

一方で「CPとCDは他の調達市場との相互のつながりが強く、緊張が金融システム内や国境を越える形で伝播するのは、2020年3月の混乱で経験した通りだ」と指摘した。

今後の改革措置としては、市場構造の修正や、規制当局へのデータ報告を通じた透明性向上などが想定されている。