[シドニー/キャンベラ 23日 ロイター] - 米インド太平洋軍のスティーブン・スクレンカ副司令官(海兵隊中将)は23日、中国人民解放軍が2023年に台湾海峡で実施した軍事演習で台湾侵攻を想定した演習が行われたと指摘した。海上・上空の封鎖、上陸作戦、他国軍の介入への対応などを想定した訓練を実施したと述べた。ただ中国軍の侵攻が差し迫っているわけでなく、不可避でもないとの見解も示した。オーストラリア・キャンベラの記者クラブで述べた。

20日に台湾で頼清徳氏が新総統に就任し、中国は23日から台湾周辺で軍事演習を開始した。

スクレンカ副司令官は、中国の軍事演習は、22年から続けている台湾への圧力の一環だとし、かつてはめったになかった台湾の防空識別圏侵入が今や常態化していると指摘した。

習近平国家主席が27年までに台湾侵攻の準備を整えるよう軍に指示したことは真剣に受け止める必要があるとしたものの、攻撃は避けられないものでなく、差し迫ったものでもないとした。

「インド太平洋地域での紛争がどれほど壊滅的なものか、いくら強調しても足りない」とし「過去80年間、比較的平和で安定した国際秩序を維持してきた。だからこそ、我々は紛争を防ぐために協力する必要がある」と述べた。

アジア太平洋で海洋進出を活発化させる中国は、南シナ海でフィリピンと対立している。

スクレンカ氏は、中国は「過剰で、違法で、修正主義的な」海洋権益を追求するため、自国船を使って周辺国に嫌がらせや強要を繰り返していると述べた。

今月初め、黄海でオーストラリア軍ヘリコプターの周辺に中国軍機が照明弾を投下した。

スクレンカ氏は、同様な妨害行為を21年以降、およそ300件検知していると述べた。