私はお客様から「今井さんは気楽に相談しやすい」と言われると、お客様に必要とされているな、価値のある仕事ができているなと実感をする。

 その理由は、ある社長から「俺は、税理士は必要だが、社労士は必要ないと思っている」と言われて、とてもショックを受け、どうしたら必要だと思われるのだろうかと考える機会をもらったからである。

 その社長曰く「労務管理で困ったことがないから不要」とのことだった。だが私は、部下の方からは何度も従業員に関するトラブルで相談を受けたことがあった。つまり、問題が発生すると社長は部下に丸投げをするため、「自身は何も困ることがなかった」のである。

 私は、経営者に社労士の必要性を見出してもらうため、どうしたら良いのか試行錯誤した。現在では3つのことを心掛けるようにしている。

 1つ目は、社労士業務と関係ない事案であっても、まずは話を聞くこと。会社の困りごとといえば、まず初めに税理士さんに相談することが多いが、「税理士さんに相談しづらい、怖い」といった話もよく聞く。そんな時に「誰に相談したら良いか分からない書類が届いた。どうしよう」、「従業員が警察に捕まった。どうしよう」などの困りごとに対し、自分でできる範囲で調べて、解決する、または専門家につなぐといった対応をしている。「分からない」、「専門外」などと切り捨てることなく、いったん話を聞くようにしている。

 2つ目は、定型の回答だけでなく、プラスアルファの助言をすること。以前「役所と同じことを言うだけなら、あんたはいらん、役所に聞けば良い」と言われたことがある。そのため、質問・相談されたことに対し法的に「良い」「悪い」だけでなく、法律の範囲内でその会社の実情に合った解決策を2つ以上提案したり、別の視点・考え方をしてみてはどうかと新たな価値観について助言したりしている。

 3つ目は、経営者の愚痴を親身になって聞くこと。経営者は、部下には相談できない悩みを抱えていることが多々ある。会社の事情を知ったうえで、できるだけたくさん愚痴を聞き、気持ちをリセットしてもらい、社長の悩みや考えを整理する手助けを担うカウンセラーのような聞き手になることである。

 昨今は、情報量が多く、価値観も多様化・複雑化した社会となっており、企業にとって、どうしたら良いか分からない事案が増えているといえよう。そんな時、私が「一番初めに相談したいと思い浮かぶ士業」でありたいと考えている。

美濃労務管理事務所 今井 欣也【岐阜】