楽天が22日、京セラドーム大阪でのソフトバンク戦に0−12で敗れ、前日の0−21の敗戦に続く悪夢を演じた。先発の荘司康誠(23)が一死しかとれずに5失点で降板。2番手に送り込んだ松井友飛(24)もソフトバンク打線の勢いを止めることができなかった。打線も4安打で無得点。2試合連続の完封負けで4連敗となり借金は7に膨らんだ。

 山川に2打席連続のアーチを許す

 またしても惨劇が繰り返された。
ホークスが強すぎるのか。それとも楽天が不甲斐なさすぎるのか。
前日に福岡で0−21の大敗を喫して、この日は、大阪に場所を移して0−12。2試合で33失点は、19年ぶりの球団ワースト記録だ。
田尾安志氏を監督に迎えて戦力が整わないまま新球団としてスタートした創設1年目の2005年3月27日のロッテ戦で球団ワーストの0―26のスコアで大敗。翌日の試合も6失点して、2試合で32失点が、これまでの球団ワースト記録だった。
スポーツ各紙の報道によると、今江監督は「監督の責任。普通の負け方ではないので、これまで粘り強く戦ってきたことを忘れてしまいそうな雰囲気になる」と敗戦ショックを隠せず、試合後に緊急ミーティングを開き、チームに奮起を促したという。
プロ2年目の先発、荘司は一死しか取れなかった。
1回に先頭の周東はライトフライに打ち取ったが、今宮、柳田に連打を許し、山川にカウント1−2からインローに投じた153キロのストレートをすくいあげられて、レフトスタンドに運ばれた。さらに近藤に四球を与え、続く栗原にライトフェンス直撃の二塁打を打たれた時点で、ベンチでは、今江監督と青山投手コーチが話をしてブルペンに連絡を入れていた。中村晃を歩かせて満塁となったところで、今江監督は交代を告げた。
前日は3回で8失点していた先発のポンセを引っ張って4回も続投させてゲームを完全に壊してしまったことでファンの批判を浴びた。その采配を反省しての早めのスイッチだったのかもしれないが、バトンを受けた1軍昇格したばかりの松井もソフトバンク打線の勢いを止めきれない。海野にセンターへ2点タイムリーを許し、2回には一死一塁から山川に2打席連続となる2ランを浴びた。
さらに2つの四球が絡んで二死満塁とピンチを広げ、三森にカウント0−2から見送ればボールの変化球をライト前に運ばれて2失点。松井は4回にも1点を奪われ、4番手の津留崎も8回に四死球から2点を失い、最終的には0−12。打線もベテラン左腕の和田に7回まで無抵抗。結局、わずか4安打で1点も取れないままゲームセットとなった。これで19イニング連続無得点である。

 SNSやネットは大荒れとなった。
「プロとして恥ずかしくないのか」「投打に希望がなさすぎる」「これだけ大敗をしても、まだ下に西武がいるのが凄い」「プロと学生が試合をしているくらいの差があった。お金を払って球場に来たファンに見せる試合じゃない」
厳しい声のなかには「親会社も経営危機をささやかれてコケそうなので、今シーズン終わりに身売り路線が確定かな?」という過激なものもあった。
また19年前には、ロッテの現役で26点を楽天から奪った側の一員だった今江監督が、今度は指揮官として33点を奪われる側に回った“因果”に注目する声も少なくなかった。
パ・リーグの野球に詳しい元阪神、ダイエー(ソフトバンク)、ヤクルトの池田親興氏は、こんな見方をしている。
「ホークスの打線には勢いがある。調子の悪い選手が1人もいない。栗原の状態も上がってきて、クリーンナップトリオどころか、6番までのカルテットが、爆発的な得点力を持っている状況のところに、たまたま楽天がぶつかったという巡り合わせの悪さもあったと思う。ただ四球が絡んだし、楽天バッテリーに工夫が見られなかったことも確か」
前日のゲームで先発のポンセは11安打12失点。2回には5連打を浴びるなどしたが、ベンチは交代を告げず4回にもマウンドに上げてさらに傷口を広げた。
「ポンセは、ほとんど外角のボールを打たれていた。左打者へのフロントドアも決まらず、動くボールでインコースを攻めきれずにちょうど手の届く外角のボールを痛打された。ファンあってのプロ野球。ああいう状態のポンセを4回にも続投させたベンチの采配にも疑問はあった。この日、山川に打たれた2本の本塁打は、いずれも配球を読まれて狙い打ちにされたもの。荘司はインコースを攻めきれずストレートを捉えられ、2番手の松井は、初球のストレートを見向きもされずカーブを狙われていた。バッテリーが察知すべきだった」
そう分析した池田氏は、2日間で33失点のワースト記録を作った背景には、そもそもの根本的な理由があると指摘した。
「オフに外国人も含めて補強をせずに戦力がない。監督が変わってもチームの中身はほぼ変わっていないのだから、楽天という球団が、このチームを一体どうしたいのかがさっぱり見えない。抑えの松井裕樹がメジャーに移籍して則本を後ろに回したことで先発が足りず、その先発が崩れるから、中継ぎが疲弊するという最悪のパターン。そして打線には軸がない。チームの得点力の無さを打率の上がってこない浅村一人の責任に押し付けるのもおかしい。相手投手からすれば、楽天と西武は、もっとも投げたいチームだろうし、そういう余裕が今回のソフトバンクの2連戦のような大胆な投球にもつながっていく。監督経験がないまま、厳しい戦力のチームを預けられた今江は、大変というか、むしろかわいそうだ」

 オフに日ハムから先発のポンセ、広島から中継ぎのターリーを獲得したが、ドラフト1位の古謝も、まだ戦力にはなっておらず、昨年リーグワーストだったチーム防御率3.52は改善どころか4点台にまで悪化した。一方の野手は外国人の補強はゼロ。FAやトレードでの補強に乗り出すこともなかった。
「ソフトバンクは昨年80億円補強をして3位に終わると、賛否はあったものの、あきらめることなく西武からFAの山川を獲得して大きなプラス戦力となっている。4位だった楽天のオフの動きとは、あまりにも対照的だ」と、池田氏は指摘する。
今江監督はミーティングで「まだ5月。調子の悪い人間もまだまだ取り返せる」と発言したという。
ここからの巻き返しにどんな手を打つべきなのか。
「現状の戦力を考えると巻き返しは簡単ではない。監督の途中休養や首脳陣の配置転換をしてもなんの意味もないと思う。シーズン途中から来る外国人選手へ過度な期待はできないが、ファンのためにもフロントがなんらかのテコ入れの動きを見せる必要はあると思う。そして現場がすべきことは、敗戦のショックを引きずらずに切り替えること。明日からの本拠地の日ハム戦の初戦でまず1勝することがムードを変える意味で一番大切なことだと思う」
幸いにして今日23日はゲームがない。セパ交流戦前の最後のカードとなる24日からの日ハムとの3連戦でなんとか「33失点ショック」を振り払い、心機一転、28日から横浜に乗り込みたい。
(文責・RONSPO編集部)