昭和から平成に変わった1989年、テレビから威勢よく流れていた〈♪24時間戦えますか〉はインパクトがあった。ドリンク剤のCMで躍動する企業戦士。バブル絶頂期、米国の名門企業を買収するなどジャパンマネーが世界を席巻していたころだ◆キャッチコピーは時代を映す。少しさかのぼり、70年代後半からは〈あいててよかった〉がある。営業時間は午前7時から午後11時。コンビニ最大手セブン−イレブンの1号店が、50年前の5月15日、東京・豊洲に開店した◆大手スーパーの参入や24時間営業、無休、商品管理など流通革命をもたらした。夜中にこうこうと浮かび上がり、かつて感じていた「都会」。今や全国に約5万5千店あり、情報通信網を生かした銀行や役所代わりのサービスなど暮らしに欠かせないインフラになった◆それでも利便性から縁遠い地域はある。唐津市が5月に始めた「どこでも出張市役所」。証明書交付など業務用端末を載せた特殊車両を巡回運行し、九州では初めてだという。高齢者はオンライン申請もおぼつかない。県土面積の2割に及ぶ広大な市域ゆえである◆右肩上がりの社会を象徴していた〈24時間〉。テレビ離れや価値観が多様な昨今、だれもが思い浮かべるフレーズはあるだろうか。〈亭主元気で留守がいい〉(86年)というのもあったが…。(松)