ウエルスアドバイザーが2023年12月29日に初めて発表を行った「新NISA成長投資枠WA優秀ファンド賞」。成長投資枠にふさわしいアクティブファンドとして、1312本の対象の中からわずか20本を選定した当賞において、「国際株式型(特定地域) 部門」にて受賞をしたアライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Bコース(為替ヘッジなし)について、アライアンス・バーンスタイン株式会社 執行役員 運用戦略部長(株式担当) マネジング・ディレクター 岡田章昌氏(写真:右)に、ウエルスアドバイザー代表取締役社長の朝倉智也(写真:左)がインタビューを行った。
朝倉:当ファンドは中長期で好調なパフォーマンスになっておりますが、トータルリターン、シャープレシオともに、5年、10年と安定して上位の成績を持続しております。また、ファンドレーティングが33カ月連続で五つ星ということから、効率性の高い運用が持続していると考えます。
弊社としては、特に長期における実績、そして安定性の面から、当ファンドを評価させていただいているのですが、岡田様から長期で良好なパフォーマンスを継続している背景について、まずはお話ししていただけますでしょうか。
岡田氏:この5年、10年という、中長期という期間は、この運用で最も重視している運用期間になりますので、そういう中でアワードをいただけたことは、本当に御礼を申し上げるところでございます。
よく長期投資は、マラソンのような長距離走に例えられることがあると思います。短距離走と違って、1年だけ勝てばいいというわけではないですし、短距離で速ければ良いというわけでもない。長い期間の過程では、追い風のときもあれば向かい風のときもあり、さまざまな局面を乗り越えながらも、ある程度ペースを保ち続けなければいけません。この戦略が長期でパフォーマンスを上げる理由は、この「ペースを保つ」、つまり「ペースメーカー」のところに秘訣(ひけつ)があります。
では、株式投資の「ペースメーカー」は何かというと、株価は利益の関数になりますので、「ペース」は「利益成長」ということになります。株価のエンジンになりますので、運用上も利益の成長力が重要になってくると考えております。特に当運用の場合は、「持続的な成長企業」に投資をすることを、運用上の特徴にしております。「持続的な成長企業」つまり持続的に利益成長のある企業に投資をしていれば、株価変動の「ペースメーカー」が機能し、追い風が吹くとき、逆風が吹くときも含めて、安定的な株価動向になります。
更なるポイントとして、どのような企業が「真に利益成長の持続が期待できる」と考えているかという点では、3つのポイントがございます。
1つは、株式投資、株式資本をいかに効率的に利益につなげられるかという、高い投下資本利益率です。今、日本でも話題になっておりますけれど、その企業の経営が、いかに株主のために利益を出しているか、しかも、効率よく出しているか。
そして、利益は1回出すだけでは駄目なんですよね。つまり、短距離だけ勝っても、そのときはもしかしたら株価が急上昇するかもしれませんけれど、そこで息が切れてしまうと急減速してしまって、そこでリタイアすることになるというリスクもあります。したがって、ポイントの2つ目としては、さらにその利益を次のエネルギーに変えられるか、ビジネスで申し上げると再投資の機会があるかという観点になります。
利益の再投資がさらなる利益を生むことで企業が成長していくということですね。そしてこれが最後のポイントになりますが、利益が成長していく時間をしっかりとつないでいくためには、企業が健全な経営をしていなければいけないですので、財務体質が強固な企業に投資をします。このような3つの条件を揃えた企業を、われわれは「持続的な成長企業」と言っておりまして、そうした大体50銘柄強に投資をすることにより高パフォーマンスを上げています。
その結果として何がいいかというと、当然マーケットには上昇局面、下落局面がありますが、特にこの運用が強いのは、上昇局面が起きた後の調整(下落)局面、マラソンで言うと走った後に疲れた局面です。
マラソンだと普通はかなりペースが落ちるんですけれど、そのときにもペースの落ち方が皆よりも落ちにくい。言い換えると、「下落局面の市場への追随が低い」。上昇のときに勝つのはアクティブ運用の使命ですけれど、下落局面でもしっかりとペースを守れて、それが3年、5年、10年と時間が繰り返されていくと、長期で競合ファンドも含めて上位に来られると。
その点で、本日のアワードをいただけましたことは、この運用チームの哲学と鍛錬でもたらすことができたのかなと、非常に喜ばしく思っております。
朝倉:インデックスファンドではそれはもちろん到底できない話ですからね。まさに岡田さんがおっしゃいましたように、強固な運用チームがこういった3つのポイントをしっかりと見極めて、持続成長の、利益の上がる会社を見極めて、投資をしているということですね。
今回のアワードでは、アクティブファンドを対象に、まさに中長期の実績に優れたファンドを選出しておりますが、今回、1月からNISAの枠がガッと拡大しまして、新NISAにおいて当ファンドをどのように活用できるのか、投資家が活用したらいいのか、についてのお考えをいただければと思います。
岡田氏:NISAには、「つみたて投資枠」という、どちらかというとみんなでペースを守りながら安定的に行くコースと、今回受賞させていただきましたファンドも対象となっている「成長投資枠」という、どちらかというとそれぞれの投資資金に応じてより高い成長を目指していくコースがあります。税制のメリットは、高い成長に対して長期に投資をすればするほど、時間を通じた複利効果を得られます、
われわれが特に長期の投資枠でお役に立ちたいところは、やはり皆さんが安心して長期で運用を継続いただいて、今回の制度のメリット、税制効果の複利効果を最大限享受していただけるところかなと思っております。
ただ、毎年マーケットは変わりますので、例えば最近ですと、AIというテーマがクローズアップされることで、「マグニフィセント・セブン」と言われる銘柄に注目が集まっています。そういうとき、個人の方の中には、そういった銘柄を全部買っておけばいいんじゃないかと思われる方がいるかもしれません。
ただ、その中にも、ペースが継続できる銘柄と、そうではなくちょっと脱落してしまう銘柄とがあります。もちろんまた体力を蓄えて、どこかで復活する可能性もあると思うんですけれど、そういうところを見極めながら投資をする必要があります。特に新NISAがスタートした2024年1月以降では、マグニフィセント・セブンの中でも、引き続き上昇しているエヌビディアという銘柄などは、さらに逆にペースを上げることができています。これは、同社がそれだけ利益の再投資の機会が多くビジネスの力が強いという証左です
逆に残念ながら、今ちょっと電気自動車の需要の不振等で脱落してきてしまっているテスラとか、また、携帯電話の規制等もあって減速しているアップルなど、マグニフィセント・セブンの中でも優勝劣敗が出てきております。したがって、銘柄の選び方という点で、われわれの運用はお役に立てるところがあるのではないかなと思っております。
そして、今でこそ新聞で見ない日はないですけど、AIというテーマが出てきたのも、まだ本当に1年強とか2年足らずぐらいの話です。その中でエヌビディアも最近の人気のテーマによる銘柄のように思われているかもしれませんけれど、実は当運用チームは、この銘柄をもうかれこれ10年を超える期間保有しているんですね。
また、非常にユニークな点として、日本で非常に多くの皆様にご愛顧いただいている当ファンド、つまり成長株戦略の運用を行っているんですけれど、その同じ運用チームが「優れたビジネス、しっかりと利益を出せる会社で且つ割安な会社」へ投資を行う割安株運用も行っています。そしてこの運用チームが、一番初めにエヌビディアに投資をしたのは2012年で、当時は割安株として投資をしたのが物語の始まりなんですね。
まだいわゆる画像処理の半導体の出始めの頃で、エヌビディアもこれからゲーム業界に進出するというような時代だったんですけれど、優れたビジネスモデルが、まだ株価に織り込まれていないというところがそもそものスタートでした。運用チームは、成長株と割安株の二刀流をやっていて、成長株の方は実は2015年ぐらいから買い足しています。そして成長の軌道に乗って、利益の再投資の結果が、初めはゲーム処理やいわゆる画像処理だったのが、今はAIに応用されています。これは最初からAIを追っていたら、多分買えない銘柄だったと思うんですね。
朝倉:なるほど。そうですね。
岡田氏:われわれのアナリストがエヌビディアという会社のビジネスモデルをしっかりと見て、そしてこの企業の利益ペースがどう再現できるかという、再投資の機会をどう作れるかと。運用者が言うのは、そういった日々出てくるものを追い掛けていると、なかなか成果を得ることが難しいのですが、どのようなビジネスを持っていて、そのビジネスからそのような再投資機会を見つけることができる銘柄こそ、投資に値するという一つの事例が、まさにエヌビディアというところになります。
まさにこれから新NISAの成長投資枠は、1年、2年ではなくて、今後10年という期間を運用するに当たって、ご自身でそれをやるのはかなり大変な作業になると思いますので、そういったものをぜひこのような、われわれのようなアクティブ運用にお預けいただきながら、長期の成果を得ていただけたら、という形でぜひご活用いただけたらと考えております。
朝倉:当然バリュエーションを見ながら、高くなったらちょっと売却するとか、そういう行動も取られるのでしょうけれど、インデックスですと、マグニフィセント・セブンにそのまま投資をしていかなければいけないということですね。一方では、御社のファンドなどは、先ほど来から話がありますように、テスラであるとかAppleが、ちょっとマグニフィセント・セブンから陥落するぞというようなときに、ポートフォリオからもスッと抜け出るという。上位銘柄が抜けているのは、素晴らしいなと思いました。
一方で、今おっしゃいました(成長株に加えて)割安株もあって、両方、二刀流という話をされましたけど、そこがやはり生きているんじゃないですかね。
岡田氏:銘柄というのは、企業はやはりどんな銘柄でも成長が大事だと思うんです。ただ一方、株式投資の場合は、どんなに成長する銘柄でも、本当にその株価が正当化されるかどうか、割安かどうかという、そういう厳しい見方で、銘柄に対峙(たいじ)していかないといけません。
株価上昇の理由が、初めは成長で上がっていると思うところが、最近ですと、まさにパッシブ(インデックス)運用というものが、個人投資家の皆さまの間の存在感が大きくなってきていますので、良い銘柄というのはパッシブ(受動的)にも上がってしまうんですね。つまり、パッシブはもうある意味、時価ウエート、市場にあるものをそのまま買っていきますから、上がっている銘柄のさらにおみこしをかついでしまうと。
ただ、減速するときには一緒におみこし自体が重くなっていって、スピードが落ちることもあります。そういうある意味でパッシブ運用は、逆に、幅広い機会を捉えるメリットがあるものの、いわゆる成長力のあるものと割高なものがごっちゃになって購入しなければいけないですし、その中では成長力がない斜陽産業みたいなものも入ってしまいます。
われわれの運用はそういう中で、成長力のある業種、情報技術とかヘルスケアとか、そういったところにフォーカスして投資をしていますので、マラソンで言うコース取りのところでは、自分のコースを作れるということが、長期的にはより良い効率的な運用に繋がっているのではないかなと思っております。
朝倉:先ほど話がありましたように、まさにつみたて投資枠と成長投資枠の2つがあって。つみたて投資枠は、いろいろな制約があって、選べる商品は決まっていて、やはりインデックスが圧倒的に多いのですが、つみたて投資枠はパッシブで、成長投資枠で御社のようなファンドを選んでも別に全く問題ないですもんね。そういう投資の仕方もあるのではないかなと思うんですけどね。
ちなみに、また新NISAの話ですけど、成長投資枠の対象となるコースとして、新たに今回の隔月決算型を設定されました。いわゆるBコースの年2回と比較すると、どのようなニーズであるとか、極端に言うと、すみ分けとか、どんな形で投資をしていけばいいのでしょうか。
岡田氏:米国成長株投信で、多くの皆さんにご認識いただいているのは、(C/Dコースの)予想分配金提示型という、成果に応じて分配金を支払いするものがあります。毎月分配型は旧NISAのときには当然対象になっておりましたし、長期的な元本の値上がりが成果を生む部分だけでなく、分配金、インカムの需要を理解しておりますので、今回、新NISAに合わせて、隔月決算型という形でEコースをスタートさせていただいております。
そもそも毎月決算型の設定時もそうでしたが、長期投資の場合、成果としてのゴールがなかなかありません。マラソンと一緒で、ラップを刻まないと、自分自身が本当に正しく走っているのか、ペースが刻めているのかが分かりません。
Eコースはそういった方向けですが、資金フローの特徴としては、既にあるBコースが増えています。われわれはもともと長期投資に強いと自負していますから、このことを非常に喜ばしく思っています。
あと、Eコース隔月決算型は2023年10月の設定来、おかげさまで今、販売会社さまが増えていて、分配金ニーズも非常に根強いのかなということを、改めて認識しているところでございます。ただ、隔月決算型は、分配金の払い出し方のルールとして、頻度を隔月にした分、従来の毎月決算型に比べて2倍お金を出すようにしているかというと、実は払い出すルールは、従来の毎月のものと同じテーブルを使っています。
ただこれは、言い換えると、より長期志向の分配コースになっていると言えます。元本割れになる確率はより低くなっていると思いますし、また分配金が支払われる頻度も比較的安定する可能性が高いという効果があります。そういった形で新NISAでもインカムのゲインを期待される方は、こちらをご活用いただけたらと考えております。
朝倉:投資家の方にはいろいろなニーズがありますから、そういう形で選択肢があると、ありがたいですよね。それぞれの考え方とかニーズに応じてコースが選べるのは、非常にいいのではないかと思います。
先ほど来から話がありました、新年度から少し相場つきというか、各銘柄によってちょっと動きが変わってきて。以前であれば、AIとかマグニフィセント・セブンだったらみんな上がったというのが、だいぶ変わってきたということであります。ですから、最近の動向を見ていると、従前パッシブがずっと資金流入していたのが、アクティブにもだいぶ資金が向かっていって。
先ほどお話がありましたように、御社のファンドにも結構資金が、新NISAが始まっても向かっているというのは、そういう相場動向と投資家の意識も変わってきているというか、アクティブもしっかり投資をしたいという意識になっているのではないのかなと思います。そういった意味では、御社のファンドにますます期待が持てると思います。そういった期待を持たれている投資家の皆さまに、最後に、岡田様からメッセージをお願いできればと思います。
岡田氏:2024年1月に、ある意味、新NISA元年というものがスタートしております。ただ一方で、日本が人生100年時代を迎えている中で、皆さんの健康から来る寿命に加えて、資産寿命という健康も伸ばすに当たって、われわれの運用は、いわゆる複利効果で資産を増やすという方向で役に立てるファンドと自負しております。
もう一つ大事な税制メリット、これも長い時間を使えば、複利効果でより大きな税制メリットを受けることができますので、そのような形でわれわれの運用が皆さまの長い長期投資、いわゆるマラソンのような、長距離走のような運用に当たって、われわれが伴走していけたらと思っておりますので、今後ともぜひご愛顧いただけたらと思っております。
中長期で良好なパフォーマンス「AB・米国成長株投信」にWA優秀ファンド賞、新NISAの資産形成にも
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