元Jリーガーの鄭大世氏が今年の4月半ば、オ・セフン(FC町田ゼルビア)について次のようなことを言っていた。

「オ・セフンにアドバイスするなら、シュートをダイレクトで打てと。ストライド(歩幅)が長いから足の振りがめちゃくちゃ遅いんです。なので、止めて蹴ろうとしている時は相手に余裕で追いつかれているんです。3対2と数的優位の局面でもフリーでパスを受けているのに止めちゃうから、ディフェンダーに寄せられてブロックされてしまう。ゴール前で横パスが来たらダイレクトで打てばいいんですよ」

 このメッセージが本人に届いているかは定かではないが、4月21日のFC東京戦でヘッド、5月3日の柏レイソル戦で右足、5月6日の京都サンガF.C.戦でヘッド、そして5月15日のセレッソ大阪戦で右足ボレーと、全てダイレクトで決めているのだ。ちなみに、3月30日のサガン鳥栖戦で挙げた2ゴールもダイレクトシュートである。
 
 とりわけC大阪戦のゴールは素晴らしかった。ナ・サンホの右サイドからのクロスはオ・セフンの手前でバウンドする難しいパスだったが、その軌道を読み切って冷静に合わせた技術は称賛に値した。

 これで、今季J1リーグで6ゴール目。じわりと得点ランクの上位陣に迫ってきている。“ダイレクトマイスター”オ・セフンは、194センチの身長を生かしたポストプレーでも存在感を示しており、堅守速攻を地で行く町田のサッカーにおいて不可欠な戦力になりつつある。

 それにしても、オ・セフンの特徴を見抜いた鄭大世の慧眼は恐るべしだ。

取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)

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