フランクフルトに所属する元日本代表MF長谷部誠が5月24日、現役引退会見を実施。決断を下した背景などを伝えるなか、同席したスポーツディレクターのマルクス・クレッシェ氏とともに、ドイツ代表についても語った。

 ドイツは2014年のブラジル・ワールドカップ(W杯)で優勝を成し遂げたが、以降の2大会は決勝トーナメントにも進めず。1年半前のカタールW杯では、日本戦での逆転負けが大きく響いた。

 リベンジを果たすべく、日本とは1年後に親善試合で再び相まみえるも、1−4であえなく玉砕。この屈辱の連敗が決定打となり、ハンジ・フリック監督は解任に追い込まれた。

 浅からぬ因縁を踏まえ、「ドイツ国内での日本の見られ方の変化」に関する質問が飛ぶと、ドイツ人のクレッシェ氏は「もちろん、2回日本に負けたのは非常に痛かったです。やはり日本に対する見方は変わりました」と率直に明かした。

「日本には素晴らしい選手がたくさんいますし、才能溢れる若い年代なので、育成も成功しているなと。その結果のもと、ヨーロッパのトップクラブで多くの選手がプレーしている現実があります。日本を非常に強いライバルとして見ますし、将来的にも非常に強い国になっていくのかなと考えています。フランクフルトとしても、そういったマーケット、国において、どれだけ素晴らしい選手がいるのか、才能が隠れているのかは常にウォッチしています」
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 また、計17シーズンもの間、ブンデスリーガでプレーした長谷部も「ワールドカップで2大会ともグループリーグで敗退したりで、明らかにここ数年、批判はすごく大きいなと、ドイツにいるなかで非常に感じました」と説明。そのうえで、すぐに手の平をひっくり返せるのもサッカーの面白さだと伝えた。

「最近の結果で見方が変わって、今ではメディアやファンは『自国開催のEUROは自分たちが本命だ』みたいな感じにコロッと変わったりしているので、非常に面白いなと思いながら見ています。そのなかで、ドイツ国内で日本人選手の評価は非常に高いなと感じます。日本代表に対しての評価も高いと思います。

 ただ、そういう評価は1試合負けたりしたら、コロッと変わってしまうのがサッカーの世界なので。だから、一つひとつの小さな評価に惑わされず、自分たちがどれだけ信念を持って積み重ねていけるか。そういう意味で言えば、日本サッカーの歩んでいる道は間違っていないと思っています。ただもちろんこれから、もっともっとやっていかなきゃいけないことも、たくさんあると思っています」

 この先、日本サッカーはさらに進化を遂げ、欧州の大国の圧倒的な恐怖となれるか。そのためには、長谷部が言うように、確固たる信念を持って、コツコツと積み重ねていくことが、王道にして、成功への唯一の道だ。

取材・文●有園僚真(サッカーダイジェストWeb編集部)

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