4勝4分7敗の14位。しかもアウェーで連敗中と、苦戦が続くのが覇権奪回を目標に掲げる川崎だ。

 鬼木達監督の下、8年目の今季は、神戸との富士フイルムスーパーカップを制すなど順調な船出を切ったかに思われたが、直後に悲願のACLでまさかの敗退を喫し、リーグ戦は黒星が先行。指揮官は5月を巻き返しのタイミングと捉え、9節からは5戦負けなし(2勝3分)を記録したが、直近の鳥栖戦(●2−5)とG大阪戦(●1−3)に計8失点で敗れた。

 今季は長年チームを支えてきた登里享平、山根視来、山村和也らが移籍した一方、山本悠樹、三浦颯太、ファンウェルメスケルケン際らを補強し、新陳代謝を高めているが、なかなか波に乗れていない状況だ。

「スタートからチームはある程度メンバーも変わって、難しい立ち位置になるかなと、課題感もシェアしてチームをもう一回、強いフロンターレを作っていこうよとスタートしてきています」

 そう振り返るのは竹内弘明強化本部長である。結果が出ないと指標がブレてしまうことは多いが、鬼木監督の下、技術力を活かして攻守に魅せるサッカーを目指すことに変わりはないと強調もする。

「フロンターレもここ数年やってきた選手が抜けているのは確かですが、新しいフロンターレを作っていこうというところで良いスタートを切れて、『今年は』っていうところで勝ちきれてなく、ちょっとそういった意味では苦しい時期が続いています。ただ、フロンターレとしてブレずにやっていくことは明確なので、フロンターレがフロンターレであるために、やっぱり耐えなきゃいけない時期もあるだろうから、そこはしっかり、今は支えていくという立ち位置のなかで、チーム一丸となってやることが一番かなという状況ではあります」

 一方で理想を共有するなか、試合の流れを掴み切れずに勝利に結びつかない試合や、失点が続いている点など課題も認識。それでも継続してやることがクラブの指針になりそうだ。

「ぶれずにやる、そこはある程度クラブとしても許容してあげないと、勝ち負けに一喜一憂してしまうのはちょっと違うかなとは思います。許容をどこまで持つか。この前半戦、そういう時期ではないかなと思います」

 そしてチームが徐々に上向いていることを竹内強化本部長も口にする。
【動画】川崎の“らしい”G大阪戦のゴール
 実際に敗れた直近のG大阪戦(●1−3)も前半は相手を押し込み、これでもかとつなぎ、相手エリア内の家長昭博のクロスから瀬川祐輔が頭で決めたゴールは各方面から称賛された。対して直後の失点や、後半は相手の変化に対応し切れずに逆転を許した面などが改善点に挙がる。

「まずは今の現状をしっかり受け止めないといけないというところと、あとはやれていることと、やれていないということと言いますか、そこはハッキリしている部分もある。サッカーは90分なので90分間をしっかりやらないといけないという話をしています。

 そのなかでも自分たちの時間ではない時に、我慢強く戦えばチャンスが訪れるので、そこをやり続けるところ。原点回帰ではないですが、そういうところかなと思います。

 失点へのこだわりだとか、攻撃的なチームですが、取られなければ負けないわけで、我慢していれば勝つチャンスは増えるわけです。点を取ったあとにもう1点取れば違う展開になる。簡単ではないですが、簡単ではないで済ませたくはないですし、やり続けること。そこは求めていくところです」

 そう話すのは鬼木監督だ。そして指揮官は前述のG大阪戦のゴールを例に挙げながらこうも続ける。

「自分たちにしかできないっていうものが、自分たちの価値だと思っています。勝たなくてはいけないですし、勝たせなくてはいけない、それが自分の仕事なんですが、選手もそこに誇りを持ってほしいと言いますか。どのゴールも同じ1点なんですが、自分たちにしかできないゴールにもっともっとこだわってやっていきたい」

 一方で失点が増えていることに関しても監督就任時に掲げた「守る時は守れるようにしたい」という目標も改めて語る。

「得点と失点では同じチームではないような形だとも思うんです。そういうところは厳しく目を向けてやっていきたいですし、それができる選手たちだと思います」

 そして鬼木監督、竹内強化本部長はサポーターへの感謝をともに口にする。

「本当にありがたいです。こういう状況でもね、背中をきちっと押してくれると言いますか。やっぱり、僕たちの存在意義っていうのはそういうところにあると思うので、当然サッカーでね、見せられればいいですが、そのために頑張っています」(竹内強化本部長)

「鳥栖でああいう負け方をして、ガンバ戦にもいろんな人が応援にきてくれて、駅とかで会っても励まされる声だったり、信頼してもらえたり、応えなきゃという想いになります。ありがたみを感じますね。どうにかしたい」(鬼木監督)

 まずは5月25日のホーム柏戦。ここで反撃のキッカケを掴めるか注目だ。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

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