「非桜花賞組」の狙い方

オークスには大きく分けて2つの臨戦過程がある。言うまでもなく、一つはクラシック第1弾・桜花賞からの直行。もう一つは桜花賞以外、つまりはフローラSや忘れな草賞などから挑むパターンだ。

過去10年を振り返ると、前者の桜花賞組は【7-5-6-63】の勝率8.6%、複勝率22.2%。回収率は単勝が31%、複勝が49%となっている。18年と23年に馬券圏内を独占するなど、当然のように好走多数。ただ、回収率の低さが示すように、連対した12頭全て、そして3着も6頭中4頭が4番人気以内だった。「桜花賞組は人気馬だけ買う」というスタンスでいいだろう。

一方、後者の非桜花賞組は【3-5-4-84】の勝率3.1%、複勝率12.5%だから、一見すると低調に映る。単勝回収率も20%と低い。ただ、注目すべきは複勝回収率が82%もあることだ。それもそのはず、6番人気以下の伏兵が6頭も絡んでいるのだから凄い。そして、その6頭には分かりやすい共通項があるのだ。各馬の着順と前走の成績を紹介しよう。

・モズカッチャン(17年6番人気2着)
前走:フローラS・1着(東京芝2000m)

・カレンブーケドール(19年12番人気2着)
前走:スイートピーS・1着(東京芝1800m)

・ウインマリリン(20年7番人気2着)
前走:フローラS・1着(東京芝2000m)

・ウインマイティー(20年13番人気3着)
前走:忘れな草賞・1着(阪神芝2000m)

・ハギノピリナ(21年16番人気3着)
前走:矢車賞・1着(阪神芝2200m)

・スタニングローズ(22年10番人気2着)
前走:フラワーC・1着(中山芝1800m)

全馬が揃いも揃って、前走で芝1800m以上の特別戦を勝っていた。また、キャリアも4戦が2頭、5戦が2頭、6戦と7戦が1頭ずつだから比較的多い。つまり、長めの距離を中心に使われ、かつ前走を勝って勢いに乗っている馬が狙い目なのだ。

オークスで好走するために生まれてきた馬!?

今年の登録18頭中、前走で芝1800m以上の特別戦を勝っているのはアドマイヤベル、エセルフリーダ、コガネノソラ、タガノエルピーダ、ミアネーロの5頭。中でも注目はキャリアが6戦と最も豊富なコガネノソラだ。

デビュー当初は惜敗が続いたが、昨秋の未勝利から破竹の3連勝。とりわけ前走のスイートピーSでは自身初となるメンバー中最速の上がり3F(34秒1)をマークして、鮮やかな差し切りだった。重賞初挑戦がGⅠとなるので下馬評は低いが、目下の充実ぶりは目を見張る。

ゴールドシップ産駒はこれまでオークスに4頭が出走し、20年にウインマイティー(13番人気)が3着、21年にはユーバーレーベン(3番人気)が優勝と相性が良い。

しかも、コガネノソラはユーバーレーベンと同じく母の父がロージズインメイ、さらに叔母のウインマリリンが20年の2着馬だから、「オークスで好走するために生まれてきた馬」といっても過言ではない。人気薄必至のゴールドシップ産駒で、是非とも好配当を仕留めてほしい。

《ライタープロフィール》
逆瀬川龍之介
国内の主要セール、GⅠのパドックはもちろん、時には海外のセリにも足を運ぶ馬体至上主義のライター。その相馬眼を頼りにする厩舎関係者、馬主は少なくない。一方、マニアック、かつ実用的なデータを駆使して、ネット媒体や雑誌などにも寄稿するなど、マルチな才能を持っている。

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