後半1000mを57.3でまとめる

「6月の東京芝1800m新馬戦」は毎年素質馬がデビューすることでも知られ、過去10年の優勝馬ではメジャーエンブレム(阪神JF、NHKマイルC)、ユーバーレーベン(オークス)、ジオグリフ(皐月賞)などが大舞台で活躍。6月9日(日)の東京5Rでは栗東・斉藤崇史厩舎所属のキタサンブラック産駒、クロワデュノールが素晴らしい走りを披露した。

レースは11頭立てで、半姉に今年のオークス馬チェルヴィニアがいる良血アルレッキーノが単勝1.7倍の支持を集めて1番人気、クロワデュノールは6.1倍の3番人気だった。

好スタートからC.ルメール騎手騎乗のアルレッキーノが逃げる展開となるも、クロワデュノールの鞍上北村友一騎手は冷静に2番手の外を追走。前半1000mを通過したところからは先頭に並びかけていく勢いだった。直線は内を開けた進路取りでサンデーレーシングの勝負服同士が馬体をピッタリ併せての地力勝負。残り200mでアルレッキーノをかわすと差を広げ、ラスト30mほどは流す余裕がありながら2馬身半差をつけた。

勝ちタイム1:46.7は、6月の開催では2023年にダノンエアズロックがマークした1:48.1を、東京芝1800mの2歳新馬戦でみても2022年タイセイクラージュの1:47.0を上回る新馬戦のレコードを更新。後半1000mのタイム57.3(11.9-11.5-11.3-11.1-11.5)は2021年のジオグリフに並ぶもので、数字面でも強烈なインパクトを与えた。

アルレッキーノは目標にされる展開で2着に敗れたが、後続には4馬身差をつけており負けて強しの内容。次走は順当に勝ち上がってくるだろう。

クロワデュノールの能力値,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)


サートゥルナーリア産駒初勝利

ここまで2週を終え、1週目にシスキン産駒が新種牡馬産駒として初勝利、ナダル産駒は早くも2勝と活躍をみせているが、前日の8日(土)の東京5Rでは、注目を集めるサートゥルナーリア産駒の牝馬コートアリシアンが勝利。同産駒初めての勝ち上がりとなった。

馬体重438kg、菅原明良騎手を背に大外8番ゲートからスタートするも出遅れ。その後巻き返して5番手追走から直線は大外へと持ち出されると、残り300m付近で先頭に立ってそのまま後続を5馬身突き放した。勝ちタイムは1:35.1、上がり33.3とメンバー中唯一の33秒台を記録し、追い出されてからの加速力は素晴らしかった。

また後半800mも45.7(11.9-11.5-10.9-11.4)とこの時期の2歳馬としては優秀なタイムでまとめた点も強調したい。スタートと道中でいかにリラックスして走れるかなど課題も多いが、活躍が期待できそうだ。

6月8日に新馬戦を勝ち上がったコートアリシアン,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)


ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場を飛び回りつつ、ライターとしても執筆している。

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