【谷口キヨコのごきげん!?SOLOライフ】うちの猫のお話、第5話。次男・銀次郎くんの話が続きます。まだ3歳の若さで元々あった尿道に大きな結石ができてしまい、それを捨て『シン(新)尿道』の形成手術後、なんとか平穏に暮らしていたぎんちゃんと私でしたが…。

 それから6年後、ぎんちゃんをまた病魔が襲います。形成手術後はご機嫌に暮らしていた、私たち(ぎんちゃんと私)。そんなぎんちゃん9歳の初夏、9歳といえば人間年齢では48歳ぐらい、もうええ大人です。

 その頃、ぎんちゃんは食べる量が減ってきていました。でも少しずつ減ってたので、これは大人になったからや、と思ってました。成長しきってるわけやし、おまけに夏やし、猫も人間も食欲落ちるよねーと。ここで気付けや、私!ですわ、ほんまに。

 でも、ほんの少しずつだけ食べる量が減ってきたぎんちゃん、当然少しずつ痩せてきたんです。毎日体重を計ってなかったのですが、抱っこはしてたので『アレ?なんか軽いな』となって、元々4.5キロぐらいはあるはずやのに、いつのまにか4キロきるぐらいまでになっていました。そんなことしてるうちに、ぎんちゃんほぼ食べなくなる…痩せる…ついにこれはおかしいと病院に行ったのが7月でした。

 6年前につくった『シン(新)尿道』に大きな結石と小さな結石がゴロゴロ、両方の腎臓本体にも結石が…。京都の病院では猫の尿道を詳しく見られる大型の顕微鏡がない、とのことで大阪にある高度二次診療動物病院を紹介してもらい、全身麻酔をしてMRI検査、その後入院、そして7時間に及ぶ手術をしたのです。

 手術は成功したのですが、それでも腎臓と尿道の結石は全部取り除けなかった、と。片方の腎臓は機能の2/3が失われたままで、尿道に微細な結石も残っている…。手術後に面会に行ったとき、ケージのなかでいろいろなチューブにつながれながらも私に近寄ろうとするぎんちゃん。でも立てないぎんちゃんがいました。

 ぎんちゃんが手術に耐えて生きていてくれたことへのありがたさと大きな嬉しさ、とにかく頑張ってくれたことへのリスペクトと、でもこんなヘロヘロになったぎんちゃんの姿を見て、これはぎんちゃんが望むことだろうか…安心感とともにいろいろな思いや疑問が湧いてきました。

 手術前に何人かにぎんちゃんの病気や手術のことを話すと「私やったら手術しないわ」「動物にそこまでしないなぁ」「かわいそうやん」。こんな風に言われました。手術に肯定的な人は2割、そうでない人は8割ぐらいやったと覚えています。

 猫はもちろんしゃべられないので彼の気持ちを聞くことはできません。でも、彼の「生きたい」という本能を信じ、私の「生きてほしい」という願いのもとに、ぎんちゃんに手術を受けてもらいました。結果、今も毎日投薬し、四日に一度の点滴をずっとしていますが、なんとか元気にしてくれてます。

 今ではもちろん手術をしてよかったと思います。獣医師さんはもちろんですが、その他にも関わってくれた方がたくさんいます。私にとっては「かけがえのないぎんちゃん」ですが、そうではない人にとっては単なる一匹の猫やのに…ほんまにありがたいことです。点滴も投薬も嫌がるぎんちゃんをなだめながら押さえながらの毎日は大変でもあり、これも生きててくれてるからや、と幸せでもあります。

 本当のところ、猫であるぎんちゃんがどう感じているかは分からないし、分かるはずもありませんが、私もぎんちゃんのことをなんとか分かろうとしながら、ぎんちゃんも私に寄り添ってくれながら(寄り添ってくれてる、と勝手に思ってるんですが)、これからもお互いの寿命を全うできるよう生きていこうと思うのです。

 うちに来てくれてありがとう、ぎんちゃん。