日清オイリオグループとキユーピーが協働し、使用済み油付きペットボトル回収の実証実験を開始する。イオンの協力を経て、千葉市内の「イオン」と「イオンスタイル」の8店舗に、5月29日から11月末まで回収ボックスを設置し、資源循環の実現に向けた技術検証に活用していく。

両社は23日、渋谷区のキユーピー本社で会見を行い、日清オイリオグループの横山英治環境ソリューション室室長は、「目指す姿は、油付きペットボトルが熱回収に留まらず、資源として循環される姿だ。問題なくリサイクルされる再生技術と集まる仕組みが必要で、大きな課題を解決すべく2社が協業する。最終ゴールは油付きペットボトルの資源循環を社会実装することだ」と目的を語った。

キユーピーの浜北剛経営推進本部サステナビリティ推進部部長と、日清オイリオグループの横山英治環境ソリューション室室長

プラスチックは食品の品質を長く保ち、軽量で扱いやすい重要な素材であることから、使用済み油付きプラスチックを大事に使い続けたいというのが両社の共通の想いだという。飲料やしょうゆ、酒類などの指定ペットボトルは、自治体で回収して、ボトルからボトルへのリサイクルが進んでいる。一方で、油を含んだ食用油やドレッシングなどの使用済みペットボトルは、熱回収に使われることが多いのが現状となっている。

〈資源循環できてボトルが効率的に集まること必要、並行して回収の仕組みを〉

油付きペットボトルの資源循環を社会実装していくためには、技術的に資源循環ができること、ボトルが効率的に集まること、この2つを達成することが必要になるという。そのためには、まず再生工程で懸念される油の影響を除けることを検証する。その上で、油の影響を除いたペットボトルが食品容器としての品質を保つことを確認する。これら技術と並行して回収の仕組みを作ることが重要なことから、「生活者の共感が得られ、ボトルが効率的に集まるように働きかけていく」とした。

再生技術の実証については、ラボレベルでは食用油、ドレッシングのいずれも、実験で油分が落とせることを確認しているという。ただ、実機での検証となると、数10tレベルで回収ペットボトルが必要となり1社ではハードルが高く、協業の利点があるとしている。キユーピーの浜北剛経営推進本部サステナビリティ推進部部長は、「賛同するメーカーや自治体、行政など仲間を増やして社会実装を進める」と語った。

並行して進めるボトルが集まる仕組みづくりでは、イオンの8店舗で半年間、回収実証実験を行う。家庭で使用されたボトルが、どのような状態で、どのくらいの量が集まるかを確認していくという。

今回取り組みで回収した油の使用済みペットボトルは、実機で再生原料と試験ボトルを作製し、食品容器としての品質を評価する。油が100%落とせているのが良いのか、再生プラスチックにする工程の中で問題のないレベルまで落とせればいいのか線引きが難しく、最適条件を検討していくとしている。

浜北部長は今後の展望として、「例を見ない取り組みのため、さまざまな課題を抱えている。これから新たな課題も出てくると思っている。まずは11月までイオンで回収を行い、そのボトルを25年に再生可能かを検証した上で、25年にロードマップを含めて報告する」と述べた。コスト面については、「バージンプラスチックよりも再生プラスチックの方がコストは高いが、将来の投資と考えて、資源循環を進めていく」とした。

〈大豆油糧日報2024年5月27日付〉