新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが5類に移行してから8日で1年です。様々な制限がなくなり街ににぎわいが戻る一方で、いまもその影響を受け続けているものもあります。コロナ禍の「その後」を取材しました。

GWで遊園地にぎわう

大友惇之介記者:
「新型コロナが5類に移行してから、はじめてのゴールデンウイーク。仙台市内の遊園地にも多くの方が訪れ、にぎわっています」

TBC

仙台市太白区の八木山ベニーランド。新型コロナの5類移行前は、来園者が普段の5割から6割程度に落ち込んでいましたが、今年の連休期間中は9割近い、1日あたりおよそ5000人が訪れました。マスク姿の人はほとんどみられず、コロナ禍前の日常が戻っていました。

来園者:
「今まで、コロナ禍では県をまたいで移動しなかったので、久々に県外に来た」「変わった。こういう人の集まるところに行ってみようかなという気になった」

去年5月8日に感染症法上の位置づけが、2類相当から5類に引き下げられた新型コロナウイルス。季節性インフルエンザなどと同じ危険度としての扱いとなり、感染した場合でも行動制限はなくなったほか、医療費が公費負担から自己負担になるなど対策が大きく変わりました。

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学校の給食にも変化がみられます。

給食で「黙食」やめたが・・・

仙台市の上杉山通小学校では、5類移行により「黙食」をやめ、友達との会話を楽しみながら食べられるようになりました。

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しかし、いまも机は前を向いたまま。市の教育委員会は、5類移行後の給食のあり方を学校側に任せていますが、この小学校では以前の形に戻すタイミングを模索し続けています。

上杉山通小学校 太田健二教頭:
「給食もグループを組んで、コロナ以前のように食べるということを検討したが、季節を問わずにインフルエンザやコロナが流行したということがあったので、タイミングをみて、ということで現在はまだ“前向き”が続いている」

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この日取材した4年生は友達とグループを組んで食べる給食を経験していません。それでも、友達との会話で笑顔が広がる給食の楽しさを感じているといいます。

児童:
「楽しくみんなで話して食べてます」
「(今は)みんなわいわい盛り上がっていて楽しい感じになった」

5類移行で医療機関は・・・

コロナ禍を経て医療機関も大きく変化しました。5類移行後、段階的に県の医療提供態勢が変更され、4月からは県が指定していない医療機関でも幅広く診察を受けられるようになりました。

めざきクリニック 目崎亨院長:
「このドームで感染者が多いときは診察をしていました」

TBC

仙台市太白区のめざきクリニックは、県の補助金を活用し1年半前にドーム型の診察室を設置しました。当時は患者が多く、病院の中だけでは対応できないこともあったため、この診察室が活躍したといいます。

TBC

めざきクリニック 目崎亨院長:
「発熱患者さんは、多いときに1日40〜50人はいました。(ドーム型診察室の設置で)院内の通常の患者と区別できて診察できたので非常に助かった」

目崎院長によると、この診察室ではインフルエンザの患者も診察していましたが、3月上旬以降は使われておらず、今後の活用方法を模索しています。

めざきクリニック 目崎亨院長:
「またこの冬、インフルエンザの患者や発熱した人は、このドーム(診察室)を中心に診察すると思う。また感染者が増えた段階で役立つドームだと思う」

一方ですでに再利用が始まっているものもあります。

ワクチン保管用の冷凍庫はいま・・・

宮城大学食産業学群 西川正純教授:
「これが仙台市から譲り受けた冷凍庫です」

宮城大学の研究室にある冷凍庫

宮城大学の研究室にある冷凍庫。食品の栄養機能などを調べるために使われています。この冷凍庫、実はワクチンの保管用として自治体が用意したものです。

今年3月で公費負担で行われる無料の接種が終了したため、その役目を終え、企業や大学に譲るなどして有効活用するよう国が求めていました。

仙台市では46台を無償譲渡することになり、このうち9台が宮城大学で活用されています。

宮城大学食産業学群 西川正純教授:
「マイナス80度という超低温の冷凍庫なので、中にはラックが入っていて動物の組織とか細胞を保管している」

TBC

この冷凍庫、国の補助で仙台市が購入した際の費用はおよそ70万円と高額で、研究者にとってはまたとない「チャンス」でした。

宮城大学食産業学群 西川正純教授:
「冷凍庫は研究者にとって貴重な機材。高価なこともあってお金を出して買うというのも難しいなかで、提供してもらえることは大変ありがたい」

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新型コロナの5類移行から1年。私たちの生活はコロナ禍の経験をふまえ新たな一歩を踏み出しています。

では、新型コロナの感染状況はいまどうなっているのでしょうか。

新型コロナの現状は・・・

新型コロナの5類移行後、県が毎週公表している定点医療機関で確認された県内の感染者数の推移をまとめたものです。この数字は県内の全ての感染者数ではありませんが、去年9月には一時、感染者が3000人近くになった時期もありました。4月上旬以降は500人前後で推移しています。

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一方で、国の統計では5類以降後の去年5月から11月までに、県内では233人が新型コロナに感染し死亡しています。

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東北大学大学院の小坂健教授は「海外ではKP.2(ケーピーツー)という新たな変異株の流行が報告されている。一方で、全国のおよそ7割の人がコロナの免疫を獲得していると考えられる。重症化リスクは下がってきていると思うが基本的な感染対策を継続してほしい」と呼びかけています。