パリ五輪で2度目の正式種目選出となるサーフィン競技は、パリから約1万5700キロ離れた南太平洋のフランス領ポリネシア・タヒチ島南部の村、チョープーの沖合で行なわれる。
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 チョープー沖合には水面下約50センチにサンゴ礁が群生。それによって美しい筒状のチューブを形成することで有名なサーフポイントだ。世界最高峰プロツアーのワールドサーフリーグ(WSL)「ビラボン・プロ・チョープー」の会場としても知られている。同大会は“世界で最もヘビーなビッグウェーブコンテスト”とも言われており、このポイントを恐れるサーファーは数多くいるのだ。

 しかし、難しいポイントでの競技を歓迎している選手もいる。4月3日、米老舗サーフィン専門誌『SURFER MAGAZINE』は、パリ五輪出場を決めたティム・エルター(ドイツ代表)のインタビュー記事を掲載。そこでエルターは、「チョープーに行くのが楽しみだ」と語った。

 同メディアは、「パリ五輪でメダルを狙うドイツ人サーファー」と題した記事の冒頭、まずはエルターを紹介した。

「エルターが育ったスペインのカナリア諸島は、ヨーロッパでも有数の激しい波のポイントとして知られている。そのほとんどは火山岩の上をすりつぶす無慈悲なスラブのうねりだ。そんな島で育った切り裂き職人エルターは、7月にチューブライディングをフルに発揮してドイツ代表に選ばれ、パリ五輪で金メダルを争うことになった」。 そんなエルターに対して同メディアは、「カナリア諸島で育ったあなたは、スーパーヘビーなスラブ(波の正面がえぐれる波)に挑んできた。五輪が行なわれるタヒチ・チョープーでのサーフィンはどう思っている?」と質問。エルターは、「本当にヘビーだし、6フィート以上になると本当に厄介なんだ」とスラブ好きの選手でも不安げな様子をみせた。

 それでも、「チョープーのような波は、地元(カナリア諸島)にもたくさんある」と続けて、「バレルライディングは快適だし、チョープーに行くのが楽しみだよ」と五輪でサーフィンができることに心を躍らせた。

 パリ五輪のサーフィン競技は7月27日から8月8日までの期間内に4日にわたり実施される。日本からは五十嵐カノアやコナー・オレアリ―、稲葉玲王、松田詩野の4選手が出場。エルターを含む出場者は、はたしてチョープーの波をどのように乗りこなすのか。

構成●THE DIGEST編集部

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