波紋を呼んだトランスジェンダー女子選手の訴えを退ける裁定が下された。

 世界水泳連盟(ワールドアクアティクス=WA)は現地6月12日、米国のトランスジェンダー女子選手であるリア・トーマスがWAに対して再び女子部門で競技できるよう求めて起こした訴えをスポーツ仲裁裁判所(CAS)が退けたと発表した。『The Guardian』など複数のメディアが伝えている。

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  トーマスは2022年3月にNCAA(全米大学体育協会)の大会で優勝した初のトランスジェンダー女子選手となったが、同年夏にWAは男性として思春期を経験した選手が女子部門に出場することを禁止。『The Guardian』によれば、トーマスはこの決定を不服として「WAによる禁止規則は『無効かつ違法』」と訴えを起こしたが、CASはこれを棄却したため、同選手は米国水泳連盟の大会出場資格を得られず、来月のパリ五輪出場の望みも絶たれたとしている。

 同メディアによれば、「WAはこの決定を歓迎し、『女子スポーツを守るための我々の取り組みにおける大きな前進』と称賛している」という。

 また、トランスジェンダー選手に関連する別の訴訟の原告として関わっている元競泳選手のライリー・ゲインズ氏は、自身のXで「リア・トーマスはオリンピックやその他のエリート競技の女子部門に出場できなくなる」「これは世界中の女性と少女たちの勝利」などと綴り、さらに「彼が女性アスリートから奪ったすべての賞、タイトル、記録を剥奪する必要がある」などと指摘。これに対して、1000件に迫るリプライが寄せられ、ほとんどがCASの決定やゲインズ氏の見解を支持。同氏が引用したCASの決定を知らせる『NEW YORK POST』の記事に対しても、「どうみても不公平」「そもそも彼は女性と競争すべきではなかった」「彼は明らかに女性ではない」などと棄却を支持するコメントが数多く寄せられた。

 世界各国でさまざまな賛否両論を巻き起こした同問題だが、今回のCASの決定によってひとつの結論が出た形となった。

構成●THE DIGEST編集部

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