グローバルに活躍するダンサー・舞踊家であり俳優の田中泯が主演を務めるドラマシリーズ「フクロウと呼ばれた男」がディズニープラスで独占配信中。政界のフィクサー・大神龍太郎(田中)が議員のスキャンダル対応に取り組み、家族の問題に向き合うという緊迫した状況が続く中、龍太郎の次男である龍の動きも気になるところ。“人の役に立ちたい”という思いで動く正義感あふれる龍を演じているのは新田真剣佑。5月8日(水)に第8話から最終回となる第10話まで一挙配信されるということで、次男・龍を演じる新田にあらためて注目してみよう。

■父親は世界的アクション俳優の千葉真一さん

1996年11月16日生まれ、アメリカ・カリフォルニア州出身の新田。父親は世界的アクション俳優の千葉真一さんで、米国での活動の後に2014年より日本を拠点に活動を本確的にスタートさせた。この頃の芸名は“新田真剣佑”ではなく“真剣佑”だった。

2015年には「劇場版 仮面ライダードライブ サプライズ・フューチャー」で“泊エイジ(ロイミュード108 人間態)/仮面ライダーダークドライブ”を演じた。2016年公開の映画「ちはやふる -上の句- / -下の句-」で存在感を示し、第40回日本アカデミー賞にて新人俳優賞を受賞した。

翌2017年、事務所を移籍するタイミングで“新田真剣佑”に改名。「ちはやふる -上の句- / -下の句-」に続く完結編として2018年に公開された「ちはやふる -結び-」でも“綿谷新”を好演した。この役があらためて芝居を志すきっかけになったとして、原作者の末次由紀に許可を得て、役名から一字もらって“新田真剣佑”にしたというだけあって、ハマり役であり、思い入れの強い役となった。同年、山崎賢人主演のドラマ「トドメの接吻」(日本テレビ系)にも出演。ホテル王の御曹司・並樹尊氏という重要な役を務めた。

2019年は高畑充希主演の「同期のサクラ」(日本テレビ系)に出演。橋本愛、竜星涼、岡山天音らと、高畑演じる北野サクラと同じ花村建設に入社した“同期”を演じた。新田が演じた木島葵は帰国子女ということで、海外生活の長い新田にぴったりの役だった。

2020年、北村匠海とW主演を務めた「サヨナラまでの30分」が公開。新田が演じたのは、一年前に亡くなったバンドミュージシャン“宮田アキ”で、自身が遺したカセットテープを再生することで30分間だけ北村が演じる窪田颯太の体を借りることができるという役だった。2021年公開の「ブレイブ -群青戦記-」では単独主演を務めた。ある日突然、校舎ごと戦国時代にタイムスリップしてしまったスポーツ名門校の生徒たちが戦に巻き込まれてしまう。パニックに陥りながらも、部活で培った身体能力と、未来を知る現代人の知識を駆使しながら生き延びようとする物語で、新田が演じた西野蒼は歴史オタクで弓道部員。スポーツの才能と歴史の知識を使ってリーダーとして活躍。これも新田らしい真っすぐさが感じられるハマり役となっていた。

2022年には人気コミック「鋼の錬金術師」を実写化した映画「鋼の錬金術師 完結編 復讐者スカー」「鋼の錬金術師 完結編 最後の錬成」にスカー役で出演。威圧感のある傷の男を巧みに演じ、迫力のあるアクションも見せた。

■日本の人気コミック×ハリウッド映画で主演

2023年は大きな作品、大きな役と巡り合った年となった。まずは映画「聖闘士星矢 The Beginning」。トメック・バギンスキーが監督を務めたハリウッド映画で新田は主演を務めた。原作は車田正美の人気コミック「聖闘士星矢」で、1985年から連載が開始され、これまでに多くのアニメーションシリーズや劇場版アニメーションが制作されてきた。このハリウッド版実写映画は、幼い頃に生き別れた姉を捜し続ける孤児の主人公・星矢(新田)が、神秘的で謎めいた女性・沙織(映画での役名はシエナ。演じたのはマディソン・アイズマン)と出会うことで自らの運命に直面するというストーリーが展開。大迫力のアクションシーンも多く、スケールの大きいダイナミックな作品に仕上がっている。2つ目はNetflixで配信された「ONE PIECE」。こちらも人気コミックの実写化作品で、原作者の尾田栄一郎も制作総指揮に参加。新田はロロノア・ゾロを演じた。

■実写とアニメが融合した意欲作に出演

そして、ディズニープラスで独占配信された「ワンダーハッチ -空飛ぶ竜の島-」。普通の女子高校生ナギと、落ちこぼれのドラゴン乗りタイムが、時空を超えて世界の危機に立ち向かう物語で、中島セナと奥平大兼がW主演を務めた。実写とアニメが融合する作品で、新田は伝説のドラゴン乗り“アクタ”役で出演。実写にもアニメにも登場するキャラで、アニメのシーンでは声優も務めている。また、架空の言語でのセリフにチャレンジしたことも話題に。

作品ごとに変幻自在に演じている新田。「フクロウと呼ばれた男」では流ちょうな英語でのセリフも披露しつつ、久々に“等身大の青年”の役ということで、俳優キャリアの初期の頃から多く演じてきた“誠実さ”だったり、“真面目さ”や“爽やかさ”など、新田の魅力とも言える部分が多くフィーチャーされている。

同作は、あらゆるスキャンダルやセンセーショナルな事件を、時にもみ消し、時に明るみにさらして解決してきた黒幕/フィクサーである“フクロウ”こと大神龍太郎を主人公として、国家の裏側・タブーに切り込んだ社会派政治ドラマ。

龍太郎役を、ダンサーとしても活躍する田中が演じ、ダークヒーローさながら「道筋を正すため」と暗躍を繰り返す父親に反して、対極な生き方で「正義」を掲げる大神龍役を新田が務める。

もちろん爽やかさの中にもこれまで世界を股にかけて活躍してきた彼ならではの独特のオーラが醸し出されていて、父親役の田中同様に、“タダ者ではない”感じも内包している。

新田の過去の作品もチェックしつつ、5月8日(水)には最終回まで含め3話一挙配信される「フクロウと呼ばれた男」のクライマックスに酔いしれたい。

◆文=田中隆信

※記事内、山崎賢人の「崎」はタツサキが正式表記