石原さとみが主演を務める映画「ミッシング」が5月17日(金)に公開される。公開に先駆け、5月1日に大阪でプレミア試写会と舞台あいさつが開催され、石原と青木崇高、吉田恵輔監督が登壇し、役作りや撮影現場でのエピソードについて語った。

■映画「ミッシング」とは

本作は、吉田監督がオリジナル脚本で制作した作品。

ある日突然いなくなった幼い娘。その帰りを懸命に待ち望みながらも、自分たちの力ではどうにもできない現実との間でもがき苦しみ、事件をめぐるマスコミと世間の声に翻弄される母親とその家族の物語を描き出す。

事件によって世間の注目を浴びた事で、謂れのない誹謗中傷や好奇の目に晒されながらも、いつか必ず会えること信じて出口のない迷路を彷徨い続ける母親・沙織里を石原が演じる。さらに、青木や中村倫也を筆頭に、森優作、小野花梨、細川岳、有田麗未、小松和重、カトウシンスケ、山本直寛、柳憂怜、美保純らが集結した。

■関西で初の試写会&舞台あいさつが開催

関西では初となる本作の試写会。満員の観客を前に、主演の石原・青木・吉田監督が登場すると、会場は大きな拍手と歓声に包まれた。

まずは石原が「5月17日(金)公開なんですが、一足早く皆さんに見て頂けることがすごく嬉しいです。最後に一筋の光があります。優しい気持ちを持ち帰って頂いて、感想を伝えて頂ければ嬉しいなと思います」と来場者に感謝を伝えた。

次に青木は「八尾出身の青木崇高です!さっき前室で差し入れのたこ焼きを食べて、やっと、ああ、大阪だ…と感じております。大阪の皆さんに見て頂けるのは本当に嬉しいです。今日は楽しんでください!」と会場を盛り上げた。そして吉田監督は「大阪にキャンペーンで来るのは6年ぶりぐらいですね」とコロナ禍を経た大阪での舞台あいさつに喜びをかみしめていた。

石原は「実は3年ぶりくらいに大阪に来ました。大阪にしか売っていない椅子があったので、そのためだけに来て、大阪名物を食べて帰りました」とプライベートでの大阪エピソードを告白。

また地元での舞台あいさつとなる青木は「ゆっくり時間があるなら、監督もさとみちゃんとも皆で、まず京橋の立ち飲みに行って、あ、やっぱり今日は雨なので天六でお寿司を食べて、鶴橋で焼肉も食べて、そのあと新世界で串カツを食べて、そこからディープな感じのカラオケに行って、最後には天満に戻って立ち飲みとか行きたいですね」と大阪が堪能できるスペシャルコースを吉田監督・石原におすすめすると、大阪出身ならではの回答に会場は大いに盛り上がった。

■石原さとみ「撮影は涙が出るくらい幸せな時間でした」

石原にとっては念願かなっての吉田監督作品の出演ということで、作品への出演が決まった時の心境を聞かれると「7年前に直談判し、その3年後に脚本をいただき飛び跳ねるぐらいうれしかったです。台本を読むと苦しい中にも最後は考えさせられる温かさがあり、本当に辛い撮影になるかもしれない」とその当時の気持ちを語った。

続けて「私が妊娠と出産を経て母親になってから初めて母親役を演じさせていただき、撮影は本当に苦しかったが涙が出るくらい幸せな時間でした」と観客に映画がようやく届くことに喜びを見せた。

吉田監督に本作に出演したいとラブコールを送っていた理由を聞かれると、「学ばないといけないという思いから映画を観ることがストレスに感じていた中で、監督の作品は没入感が強く、この世界に入りたいとそう強く思ったからです」と答えた。それに対して監督は「気持ちいいですね〜!もっと言ってほしいよ〜!」と思わず笑みをこぼした。

今作で石原と夫婦役を演じた青木は、出演が決まった時の心境を「吉田監督の作品が大好きで声かけて下さって本当に嬉しかったです」とコメント。そして「僕も一人の父親であるので、僕なりの覚悟をもって撮影に臨み、細かく描写が描かれている台本を読んだときに溢れる感情を止めることができなかった」と撮影のエピソードを語った。

また、演じる上でかなり難しい沙織里役の石原に対して青木は「母になって子育ても大変な時期に石原さんが役に逃げることなく作品に向き合う姿やキャリアを磨く上で未知な体験をし、監督と一緒に作品を作り上げる姿に感動しました」と石原の撮影現場での姿に刺激を受け、現場に参加できた喜びを語った。

■吉田監督「(石原・青木の)2人の関係は映画から飛び出てきた感じ!」

劇中では、芝居ではなく、まるでドキュメンタリーを観ているようなリアルな夫婦を演じている石原と青木。演じる上での役作りに関して問われると、石原は青木に対して「当て書きかな?と思うぐらい豊が豊を演じていた」と答え、続いて吉田監督も「すごい勘が当たった!実際に奥さんに尻に敷かれていそうなイメージで(笑)。2人の関係を見ていると映画から飛び出てきた感じ!」と自慢のキャスティングだったことを語った。

また演出に関して吉田監督は「石原さんはすごく野性味あふれる感じなので、テイクごとに熱量が違ったりしたが、青木さんが臨機応変に対応していた」と答え、石原・青木の夫婦役を絶賛。それに対して石原は「本作のような映画の役に挑戦したく、学びが多かったです」とコメントした。

■吉田監督の誕生日をたこ焼きケーキでお祝い

ここで石原・青木が、お世話になった吉田監督に用意したものがあると告げると、バースデーソングとともに、ケーキが舞台中央に登場。大阪での舞台あいさつということで、たこ焼きケーキがプレゼントされた。

プチシューを円錐状に積み上げて作るフランスの伝統的なお菓子・クロカンブッシュがたこ焼き風にアレンジされたケーキに、5月5日(日)に誕生日を迎える吉田監督も「タコがいるー!」と大盛り上がり。「いやあ、もうアイドルになった気持ちです!」と監督がうれしそうにコメントすると、会場からは笑いが。青木が「ごっつええやん?素敵やん!?」と関西弁で返答すると、さらに笑いが起こった。

■石原さとみ「命がけで取り組んだ、そして挑戦した作品です」

最後に、石原が本作をこれから観る観客に「できる限り、時間がある限り、宣伝させていただきたいという気持ちでこの数か月走ってきました。大げさではなく、命がけで取り組んだ、そして挑戦した作品です」と作品に対する心からの熱い思いを語り、「感動という言葉で表すのは難しく、苦しいけれど温かくて優しい作品です。皆さんに受け取ってもらえたら、その思いを誰かに届けてほしいです」と少し涙ぐみながらメッセージを伝えると、会場からは拍手が起こり、舞台挨拶は感動に包まれて幕を閉じた。

※吉田恵輔監督の吉は正しくは「つちよし」