東京のテレビプロデューサーだった今木清志さんは、死の間際に立ったことをきっかけに、それまで積み上げたプロデューサーとしての能力や経験を若い人に受け継ぐという道を選び、福岡の大学教授となって学生アイドルをプロデュースして地方創生に貢献し、その軌跡を著書『アイドル力』シリーズにまとめました。

今や地方からエンタメ発信できる時代であり、どの土地にもそれぞれの魅力があり、その特性を生かしたプロデュースができるはずです。

エンターテインメントによる地方創生の感動と喜び、そして笑顔が広がる地域社会の未来を描く『アイドル力』シリーズから一部抜粋、再構成してお届けします。

元TVプロデューサーが教授になるまで

私が西日本短期大学メディア・プロモーション学科の教授に着任したのは、2020年4月のことでした。それまで34年間、東京のテレビ朝日で仕事に没頭していました。

ドラマ番組のプロデューサーとして『はぐれ刑事純情派』『土曜ワイド劇場』など多くの作品を手掛け、少年時代からの念願のドラマ作りにたずさわることができた、本当に幸せな時間でした。

藤田まことさん、中村玉緒さん、片平なぎささん、オダギリジョーさん、萩本欽一さん、他にもたくさんの、芸能の世界のプロの方々と一緒に仕事ができたことは、私の人生のかけがえのない財産となっています。

ドラマ制作の現場で駆け抜けた30と数年の日々は、そのまま続くものと思っていました。

そして、テレビ局で働きはじめて32年目の秋、「心筋梗塞」で倒れたのです。