今年の大河ドラマ『光る君へ』は、紫式部が主人公。主役を吉高由里子さんが務めています。今回は藤原道長の兄、道隆のエピソードを紹介します。

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990年5月、藤原道長の父・兼家は、病により出家します。兼家は長年、摂政として活動してきましたが、この年関白にも就任しました。しかし、その関白も、病を理由にして、わずか3日で退任。同年7月2日に、62歳の生涯を閉じることになるのです。

兼家が病気を患ったとき、息子や娘たちも心配して、病気平癒の祈祷なども行われました。

物の怪がある場所から引っ越したが…

また、兼家は二条京極第に住んでいたのですが、そこはもともと、物の怪の祟りがあるとして有名な場所でした。そのため、息子たちも「お住まいを変えたほうがよい」と勧めますが、兼家は二条京極第を気に入っていたこともあり、なかなか聞き入れませんでした。

ところが兼家の病は重くなる一方で、ついに東三条院に住まいを移しました。それでも、病は回復せず、兼家の死を聞いた人々は「本当ならば、70、80歳までも生き永らえる人であるのに」と嘆き悲しんだそうです。