とはいえ、現役時代のように毎日電車通勤してフルタイムで働くのは厳しい。

『地域で無理なく楽しく働ける場があればそれが一番いい』との要望が多かったことから、『生きがい就労』をコンセプトとして固め、シニアの力を“地域の課題解決”に活かそうと考えました」

「農業」や「子育て支援」で活躍の機会を

そうして立ち上がったのが、「生きがい就労創成プロジェクト」だ。地域の休耕地を利用した都市型農業事業や、子育て支援事業を地域の事業者らと立ち上げ、シニアの「生きがい就労」の場をつくった。

活躍するシニア 農作業で活躍するシニア(出所:前田展弘さん提供資料)

たとえば、農業事業においては、田植えの補助作業や野菜の栽培・出荷作業にあたってもらうほか、子育て支援事業では、学童・保育園などで子どもの見守りや遊びのサポート業務を担ってもらう。

2013年には年間で230人超の高齢者の雇用を生み出した実績がある。

実際に働き始めたシニアからは、「生活のハリができた」「以前よりも健康になった」「地域に友人がいなかったが、新たに仲間ができてよかった」との声を多く得られた。

一方、事業者からも「短時間の労力が欲しいときにシニアの就労は助かる」「高齢者に周辺業務を担ってもらえることで、本業に専念できて事業のパフォーマンスが上がった」などの評価を得られたという。