「Ⅱ層シニアの場合、マイホームとある程度の年金収入があり、無理に働く必要はないけれど、『自分が役立てることがあればサポートしてもいい』というスタンスの人が多いです。

すると、地域の介護福祉や子育て支援、農業、観光事業など、地域性・公共性のある自治体関連の仕事はフィットしやすいと言えます。

民間企業のみならず、こうして自治体でのシニア活用の動きが広がれば、空洞化の解消に一歩近づくかもしれません」

人手不足の中小企業とマッチングも

一方、Ⅱ層シニアに特化した、民間の派遣会社も出てきている。その一つが、パソナマスターズだ。

同社は、登録したシニア向けに会社員時代の経験を活かしたオフィスワークや技術職を紹介。

一方、企業向けには、定年後のセカンドキャリアに関するプログラム構築やOB人材の就労支援サービスなど、シニア人材の活躍機会の創出に努めている。

代表取締役社長の中田光佐子さんはこう話す。

「登録されるシニアは、大手企業やその関連会社に勤めていた方が中心で、経験豊富で優秀な方が多くいます。そうした方々の経験やスキルを求めているのが、慢性的な人材不足に悩む中小企業です。

人事労務や経理といった事務職をはじめ、営業職や設計・製図、機械整備といった技術職などの求人ニーズもあり、主に中小企業での活躍の場が広がっています」

パソナマスターズ・代表取締役社長の中田光佐子さん パソナマスターズ・代表取締役社長の中田光佐子さん(写真:筆者撮影)

とはいえ、新たなセカンドキャリアにスムーズに移行できる人もいれば、そうでない人もいる。「自身の望む再就職先をつかみ、その後も活躍し続ける人たちは、ある共通するマインドを持っている」と中田さん。

後編では、普通のⅡ層シニアが定年後に新たなセカンドキャリアをつかむためのマインドや成功術について紹介する。

後編:定年後の再就職「成功する人・しない人」の決定差

著者:伯耆原 良子