「○○からのお知らせ」など、実在する企業をかたった詐欺メールが後を絶たない。「またか」と感覚を鈍らせがちだが、決して侮ってはいけない。カードの不正利用や業務サーバーへの不正アクセス、ランサムウェア攻撃などは、多くが詐欺メールを発端としているからだ。

こうしたフィッシング詐欺は、知っている人間や関係者を装って相手をだますという点で、「オレオレ詐欺」などの特殊詐欺と本質的に同じものである。

そのため、多くの人が「自分は騙されない」と思っているところが曲者で、実際に騙された人は、騙されているときに自覚がない。あるいは疑念はあっても信じてしまっている。「騙されない」という自覚や警戒は必要だが、それで万全とは言えない。

「フィッシング詐欺」の定義

フィッシング対策協議会(APC)のサイトでは、フィッシングを次のように定義している。

「フィッシング (Phishing) とは実在する組織を騙って、ユーザネーム、パスワード、アカウントID、ATMの暗証番号、クレジットカード番号といった個人情報を詐取することです。電子メールのリンクから偽サイト (フィッシングサイト)に誘導し、そこで個人情報を入力させる手口が一般的に使われています」

つまり、現存する個人や企業になりすまし、ログイン情報やカード番号、暗証番号などの個人情報を誘導したサイトで入力させる。その後、得られた情報を使って、カードの不正利用やシステムのログインなどを行うのは2次的な攻撃であり、厳密には不正アクセス等に分類される。