前回の「5月以降の日経平均を決める最大のヤマ場が来た」(4月29日配信)でも書いたが、日経平均の下値のメドは昨年10月4日の安値3万0526円から今年3月22日の史上最高値4万0888円までの上げ幅(1万0362円高)の「3分の1押し」に当たる3万7434円だ。

4月19日にはこの水準を下回ったために、約1011円という今年最大の下げ幅を記録したわけだが、5月10日現在(3万8229円)では大きく上回っている。しかし、もし再度3万7434円を下回ると弱気派が増え、次は前出の上げ幅の半値押し水準である3万5707円が下値メドとなってしまう。さらにその次は「半値押しは全値押しだ」(昨年10月安値の水準まで戻る)などと、弱気の虫が鳴き出すだろう。

また、移動平均線との総合乖離率で上げ下げのメドを判断すると、チャートに需給のバランスが拮抗する総合乖離(25日・75日・200日移動平均乖離率の合計)ゼロ地点は、5月10日時点で約3万7180円だ。

ただ、筆者はもしこのような波乱があった場合、余裕筋は買えばいいし、十分買ってしまって余裕のない投資家は我慢すればいいだけだと思っている。その証左の1つとして、直近の需給を見ると、財務省の対内証券売買契約(外国人)は2688億円の買い越しとなっている。東京証券取引所の投資部門別でも2159億円の買い越しとなっており、外国人投資家は引き続き日本株を買っているように、流れは変わっていない。

日本株は日柄調整が必要なだけ、5月は売りではない

あらためて2024年の「ロケットスタート」を思い出してほしい。序盤の日経平均は大発会の3万3288円から3月22日の4万0888円まで22.8%も急騰した。

一方、この間のNYダウは1月2日の3万7715ドルから3月28日の3万9807ドルへ5.5%高、同じくS&P500種指数も4742ポイントから5254ポイントへ10.8%高となった(ともに3月28日が年初来高値)が、日経平均の上昇率と比べると、NYダウは約4分の1、S&P500も半分程度の上昇率だった。

また、5月10日現在1万8772ポイントと史上最高値で超元気な独DAX指数も、1月2日の1万6769ポイントからの上昇率は約11.4%と、日経平均のちょうど半分だ。つまり今は、上がりすぎた日本株の「踊り場的な日柄(日数)調整」の時間軸の中にあると考える。

日経平均は前出の最高値3月22日から約7週間が経過した。やはり上昇にはもう少し日柄が必要といったところだが、まずは5月の日本株は売りではなく買いだ。

欧米を中心とした世界では、5月は「セル・イン・メイ」(5月までは株式市場は比較的堅調なのでこの月にいったん売却せよ、という格言)と言われる。だが、日経平均の過去の月間騰落率を見ると、5月は、1月、2月、3月、4月、6月、11月、12月に負けている。6月以降の上昇に向けて、今月は買いでいいのではないか。

(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

著者:平野 憲一